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データサイエンティストを辞めたい?分析が使われないのは会社のせいか
データサイエンティストの分析が使われないのは、会社のせいでもあり、仕事の形のせいでもあります。使うかどうかを業務の責任者が決めるのはどこでも同じですが、何人の承認を通すか、決める人がデータに前向きか、本番で動かすところまで担当するか、集計にどれだけ時間を取られるかは会社で変わります。今の会社で試せることと、面接での見分け方も書きました。
公開 2026年9月30日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月30日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・分析を使うかどうかを業務の責任者が決める点は、データサイエンティストの仕事に付いてくる
- ・当サイトの見立てでは、違いが出るのは業態や業界より、誰が採否を決めるかと、本番で動かすところまで自分たちが担当するか。承認の段数、決める人の理解、集計の多さは会社で変わる
- ・今の会社でも、外れた時に誰が責任を負うかを先に決めて相談すると、話が進むことがある。転職するなら、面接で最近の出来事を聞く
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受託分析の会社で報告書を納めて終わる仕事に嫌気がさし、「使われるところまでやりたい」と事業会社に移った人がいるとします(架空の例です)。半年かけて作った需要予測モデルは、検証では今の発注量の決め方より誤差が小さかった。それでも工場の計画担当は「現場の勘のほうが信用できる」「外れたら誰が責任取るの」と言い、部長も参考値として扱うと言って、そこで止まりました。気づけば毎日、頼まれた集計とダッシュボードの手直しをしています。会社を変えても同じだったのだから、どこへ行っても同じなのでは、と思い始めている。
分析が使われないのは、会社のせいでもあり、仕事の形のせいでもあります。 分析やモデルを業務に組み込むかどうかは、業務の責任者や経営層が決めます。これはデータサイエンティストを続ける限り付いてきます。一方で、採否が決まるまでに何人の承認を通すか、決める人がデータを使うことに前向きか、モデルを本番で動かすところまで自分たちの担当か、頼まれた集計にどれだけ時間を取られるか。こちらは会社で変わります。
受託から事業会社に移っても同じだったなら、違いを生んでいたのは業態ではなかったのだと思います。誰が採否を決めるかと、本番で動かすところまで自分たちが担当するか。この 2 つが、前の会社と今の会社で同じ形だったと考えると説明がつきます。
分析を使うかどうかを、作った人だけで決められないのはなぜか
厚生労働省の job tag によると、データサイエンティストの仕事は、分析する業務の責任者に聞いて目標を決め、データの担当者に聞いてデータを確かめ、加工しながらモデルを作り、効果を検証する、という流れです。サービスとして実装するのは、検証で「有効で、問題がないことが確認されたら」です(「データサイエンティスト - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)。誰が実装を決めるかまでは job tag に書かれていません。ただ、分析やモデルを業務に組み込むにはその業務を持つ側が使うと決める必要があり、作った人だけで決められないのはこの仕事の形から来ている、と当サイトは考えています。
辞めたくなる場面を、会社を変えたらどうなるかで分けるとこうなります。
| 辞めたくなる場面 | 会社を変えたら |
|---|---|
| 使うかどうかを自分以外の人が決める | 残る。何人の承認を通すかと、決める人の理解は会社で変わる |
| 業務の課題を分析の問いに直し、結果を現場の言葉で説明し直す | 残る。相手が顧客か社内かは会社で変わる |
| データの中身を確かめ、形式をそろえるところから始まる | 作業としては残る。かかる時間は、データ基盤の整い方とデータエンジニアがいるかで変わる |
| 手元のデータで答えが出るか分からないまま格闘する | 残る |
| 頼まれた集計とダッシュボードの手直しばかり | 会社と配属で変わる |
| 報告書や PoC で止まる | 会社で変わる。ただし事業会社でも止まることはある |
| 社内でデータを扱える人が自分しかいない | 会社で変わる |
説明し直す手間については、受託で 7 年やってきた人が、データサイエンスができるだけでは「クライアントが使用する言語がわからないため、コミュニケーションコストがかかってしまう」と書いています。答えが出るか分からないことについては、「今あるデータで答えが出せるか分かんない中で格闘するのは、まあ大変ですね」という知恵袋の回答があります。
表の上の 4 つは、会社を変えても形を変えて残ります。辞めたい理由が下の 3 つなら、会社を選び直す意味があります。
集計とダッシュボードの手直しばかりなのは、会社と配属による
job tag が挙げる仕事の流れには、他部署から頼まれた集計やダッシュボードの手直しは出てきません。ただ、事業会社で他部署からの依頼を順にこなす、社内受託のような働き方は実際にあります。面接で聞いていた時系列予測の仕事は「ほぼなかったようなもの」で、後半は SQL でダッシュボードを作る毎日だった、という声があります。
同じ「データサイエンティスト」の職名でも、集計・可視化の仕事、データ基盤づくり、モデルを業務に組み込む仕事は別物です。求人票ではまとめて「データ分析」と書かれることもあり、どれになるかは会社と配属で決まります。
報告書で止まるのも、受託だけの話ではありません。受託分析の会社で 4 年働いた人は、開発を伴わない受託分析では多くのプロジェクトが資料での報告で終わり、業務からの反応が返ってこない、と書いています。事業会社に移っても PoC で止まることがあるのは、冒頭の例のとおりです。
決める人の理解については、データサイエンティスト協会が個人会員に行った 2026 年の調査で、スキルアップの困りごとに「上司・経営層の理解がない」を挙げた人が 28% いました(データ分析に関わる 284 人、複数回答。詳細資料「データサイエンティストの就労意識~2015 → 2026 一般(個人)会員アンケートより」の p.30、2026 年 10 月 9 日確認)。
今の会社でも、外れた時の責任を先に決めれば話が進むことがある
辞める前に、今の会社で一度試せることがあります。その反応を見れば、この会社で分析が使われる見込みがあるかも分かります。
冒頭の例の計画担当の「外れたら誰が責任取るの」は、精度に納得していないというより、外れた時に誰が責任を負うかが決まっていないことへの反対です。精度の数字をもう一度見せても、たぶん話は進みません。
相談する相手は、反対した担当者本人ではなく、その上で生産計画の結果に責任を持つ人(この例なら工場の生産管理の責任者)です。持ちかける形は、発注を決めるのは今までどおり担当者で、モデルの予測値は数週間横に並べておくだけ、あとで欠品と余りがどちらで少なかったかを比べる、というものです。これなら、モデルが外れても誰かが新しく責任を負うことはありません。その前に、過去の分で、勘とモデルとで欠品と廃棄がいくら違ったかを金額にしておくと、話が通りやすくなります。この計算は手元のデータで一人でもできます。
集計の依頼で時間が取れないなら、依頼を断るのではなく、どの依頼を減らすかを上司に決めてもらいます。データ担当が一人で抱えているなら、優先順位を決めるのは本来は上司の仕事です。数週間分の依頼を、依頼元・作業・かかった時間で並べて見せ、止めていいもの、頻度を下げていいものを選んでもらいます。週次レポートを隔週にする、細かい手直しは月にまとめる、といった案を添えると選びやすくなります。空いた時間で欠品と廃棄の差を金額にしたいと伝えても一つも減らないなら、それ自体が、この会社で分析が使われる見込みを測る材料になります。
見切る時期は、先に決めておきます。組織改編や評価の時期のような区切りがあるなら、転職活動にかかる期間を見込んで、その手前を見切りの目安にします。生産管理の責任者に相談して断られた時や、分析の担当そのものが無くなると決まった時は、この会社では分析は使われないと見てよいと思います。
データの部署が情報システム部に吸収されるのは、マイナスなのか
マイナスとは限りません。
吸収とは別の話ですが、日系の大企業で、DX の部署が作られては成果を見限られて解体されるのを繰り返し、データサイエンティストとしての居場所がなくなった、と note に書いた人がいます。データの組織が会社の中でどう位置づけられるかで、居場所が左右された例です。その人は、トップが本気で関わらない限り個人の努力ではどうにもならない、組織の中での位置づけの問題だと見ています。
一方で情報システム部は、システムを本番で動かし続ける部署です。分析の担当として入れば、モデルを定期的に動かして業務のシステムにつなぐ機会は、今より増えるかもしれません。
違いが出るのは、改編の後に、分析が誰かの担当業務として決まっているかどうかです。上司に「改編後、分析は誰の担当業務になりますか」と聞いた時、次のような答えなら残る価値があります。
- 分析が担当業務として書かれ、自分がその担当になる
- 情報システム部のエンジニアと一緒に、モデルを定期実行する、システムにつなぐ、といった話が出る
- データの担当を増やす話がある
次のような答えなら、出ることを考える時です。
- 「業務は今と同じ」と言われ、分析を誰が担当するかが決まっていない
- 分析は各部署からの依頼対応として扱う
- システム保守や問い合わせ対応が主な仕事として加わる
求人票では、分析が使われているかまでは分からない
当サイトの掲載求人で数えると、PoC について書く会社が約 2 割、本番運用やサービスへの組み込みについて書く会社が約 3 割で、どちらも書かない会社が約 6 割でした。分析を意思決定や施策につなげると書く会社は約 25% ですが、これは会社がそうしたいと書いているもので、実際に使われているかは分かりません。チームの人数かデータエンジニアがいることを書く会社は約 2 割で、データエンジニアが別にいると書く会社は 5% 未満です。
組み込みまで担当すると書いてあれば手がかりにはなります。ただ、PoC にも組み込みにも触れない会社が約 6 割あり、書いてあっても実際に使われているかは求人票からは分かりません。
転職するなら、面接で何を聞けば見分けがつくか
「分析が業務に組み込まれた例はありますか」と聞けば、どこの会社も何か答えます。違いが出るのは、続けて次のことを聞いた時の答えです。
- この 1 年で、分析やモデルが業務に組み込まれた例を 1 つ。それを見て、誰が、何を、どのくらいの頻度で決めていますか
- モデルと現場の判断が食い違った時、最近はどちらを取りましたか
- 今そのモデルの面倒を見ている(数字を監視し、作り直す)のは誰ですか
- 作ったモデルを本番に載せるのは誰ですか
使われている会社なら、具体的な役職と最近の出来事がすぐ出てきます。危ないのは、精度が出た、参考値として見てもらっている、今後ほかの部署にも広げる予定だ、といった、モデルの出来と予定しか出てこない答えです。3 つ目に「作った人はもういない」「特に誰も」と返ってきたら、そのモデルの活用は止まっていると見てよいと思います。
よくある質問
外資や IT 企業なら、分析は使われやすいですか?
外資や IT 企業のほうが使われやすいことを示す資料は手元に無く、ここでは言えません。業界よりも、誰が決めるか、何人の承認を通すか、決める人が前向きか、本番まで担当するかのほうが、使われるかどうかに関わると考えています。外資や IT 企業を受ける時も、上の 4 つを聞いて確かめてください。
今の経歴で、モデルを業務に組み込む仕事の求人に通りますか?
求人によって求める技術が違うので、一概には言えません。目安は、応募資格の欄で API やクラウド、定期実行が「必須」に並ぶか「歓迎」かです。モデルを本番に載せる人が別にいるチームなら、予測結果を CSV などで渡す人でも、組み込みの仕事に関われます。身につけるなら、今のモデルを毎週自動で動かして結果を出すところまでを一度やってみるのが近道です。
PoC で止まった経験は、面接でどう話せばいいですか?
止まった理由を自分の言葉で説明し、その後に何をしたかまで話します。たとえば、検証では今のやり方より誤差の小さいモデルを作った。ただ、外れた時に誰が責任を負うかを決めないまま提案したので、採用されなかった。そこで過去分の欠品と廃棄の差を金額にして、生産の責任者に相談した。最後の部分は実際にやった場合だけ話します。やっていなければ、次は作る前に、決める人と外れた時の扱いを決めておく、と話します。
移ると年収は上がりますか、下がりますか?
組み込みまで担当できる会社に移った時に年収が上がるか下がるかは、この記事では示せません。年収の目安はデータサイエンティストの年収の記事で扱っています。応募を始める前に、これより低い提示なら受けない、という額を決めておくと迷わずに済みます。
前処理ばかりで嫌になるのは、会社のせいですか?
データを確かめて整える作業は、仕事の流れに入っているので残ります。それにかかる時間は、データ基盤がどこまで整っているか、データエンジニアがいるかで、会社ごとに違います。当サイトの掲載求人では、業務の何割が前処理かを書く求人は見つかりませんでした。かかる時間は求人票からは読めません。
この記事の数字と声について
- 当サイトの数字は、2026 年 9 月 30 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた求人のうち、題名がデータサイエンティスト・データ分析・アナリストのものを、会社単位で数えました。「書く会社」は、その内容を書いた求人を 1 件以上出している会社です。「書かない会社」は、出している求人のどれにもその内容が書かれていない会社です。求人票の文中の語で判定し、主な区分では一部の会社の求人票を目で読んで判定の条件を直しました(データエンジニアの区分は目で確かめていません)。割合は丸めています。日本の求人全体の数字ではありません。書いていないことは、無いことを意味しません。機械学習・AI エンジニアの題名の求人は数えていません
- データサイエンティスト協会の調査は協会の個人会員が答えたもので、データ活用への関心が高い人の回答です。データサイエンティスト全体の割合ではありません
- 仕事の流れは、厚生労働省 job tag「データサイエンティスト」をもとにしています。分析を使うかどうかを作った人だけで決められない、という点は job tag に書かれたことではなく、当サイトの見立てです。辞めたくなる場面を、会社を変えても残るものと会社で変わるものに分けたのは、job tag と働いている人の体験談、転職情報の記事をもとにした当サイトの判断です
- 集計ばかりだった、報告で終わる、データの部署が解体された、といった話は個人の声として紹介しています
- 次のことは、当サイトの見立てと助言です
- 業態や業界より、誰が採否を決めるかと本番まで担当するかで見分けるという見方と、受託から事業会社に移っても同じだった理由の読み方
- 外れた時の責任を先に決めて相談する進め方と、集計を減らしてもらう頼み方
- 見切る時期の決め方と、組織改編の時の残るか出るかの線引き
- 面接での危ない答えの見分け方
- 組み込みの求人への応募の目安と、身につけ方
- PoC で止まった経験の話し方