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Webディレクターを辞めたい?事業会社に移れば板挟みはなくなるのか
事業会社のWebディレクターに移っても、板挟みはなくなりません。依頼主が社内の事業部に、制作が外注の制作会社に替わることがあるだけです。違いが出るのは、間に代理店や営業が入るかどうかと、公開前の追加を誰が押し返せるかです。今の会社で次の案件から試せる頼み方と、面接で最近の案件について聞く質問をまとめました。
公開 2026年9月30日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月30日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・事業会社に移っても板挟みは残り、依頼主が社内の事業部に、制作が外注の制作会社に替わることがある
- ・違いが出るのは、間に代理店や営業が入るかどうかと、公開前の追加を誰が押し返せるか
- ・求人票からはほとんど読み取れないので、今の会社で次の案件で頼んでみて、面接では最近の案件で追加費用や日程の変更が通ったかを聞く
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広告代理店経由のキャンペーンサイトで、公開の 1 週間前にフォームの項目追加とメインビジュアルの差し替えが来た。代理店は追加費用なしで収めてほしいと言い、営業も押し返さない。デザイナーと外注のコーダーに頭を下げて対応してもらい、自分は公開前の 3 日間、毎晩終電まで残った。制作会社でディレクターを続けていて、こういう場面が重なっている人がいるとします(架空の例です)。
事業会社に移っても、板挟みはなくなりません。 依頼主が社内の事業部やマーケティングの担当に、制作が外注の制作会社に替わることがあるだけで、公開前に事業部から追加の依頼が来て、外注先に作業をお願いし直す場面は事業会社でも起こりえます。
違いが出るのは、間に代理店や営業が入るかどうかと、公開前の追加を誰が押し返せるかです。今の職場で謝ってばかりになるのは、依頼主と制作の間に立つという仕事の性質に、代理店経由で予算と日程が削られることと、営業が追加費用なしで受けてしまうことが重なっているからです。
どちらも求人票からはほとんど読み取れません。今の会社では次の案件で実際に頼んでみて、応募先では面接で最近の案件の様子を聞いて確かめます。
事業会社に移っても、依頼主と制作の間に立つ仕事は残る
厚生労働省の job tag は、Webディレクターの仕事を、依頼主と打ち合わせて目的・予算・納期を確かめ、デザインや機能の仮案を見せて了承を得て、制作スタッフに指示して納期に間に合わせる仕事として説明しています(「Webディレクター(Web制作会社) - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)。依頼主と制作スタッフの間に立つことは、仕事の中身に含まれています。
事業会社では、依頼主が社内の事業部に、制作スタッフが外注先になることがあります。当サイトの掲載求人では、自社のサイトやサービスについての求人を出している会社のうち約 30% が、求人票で外部のパートナーや外注に触れていました。受託の制作会社と同じくらいの割合です。事業会社に移っても、外注先とのやりとりがなくなるとは考えないほうが無難です。
社内の相手だから話しやすいとも限りません。社内の上司や関係者とのやりとりについて、2 年目のディレクターが「社外ならまだしもなんで社内までこんな対応をしないといけないんだ」と書いている声があります。
転職情報の記事には、事業会社のディレクターは自社のサービスに中長期で関わり、社内のチームと直接やりとりする、と書くものがあります。ただ、板挟みが減るとまでは書いていません。移った先でも残業や業務量は変わらないか、かえって増えることもある、と注意する記事もあります。
会社を変えても続くきつさと、会社を選べば軽くなるきつさ
Webディレクターを辞めたくなる理由を、会社を変えたらどうなるかで並べるとこうなります。
| きつさ | 場面 | 会社を変えたら |
|---|---|---|
| 要件が決まらないまま進み、後から変更が入る | 要件が固まらないのに、公開日だけ先に決まる | 続く。変更の多さと、変更を誰が止めるかは会社による |
| 公開前の追加を制作に頼み直す | 直前の追加を受けて、制作に頭を下げる | 間に立つことは続く。誰と誰の間かは会社による |
| 複数の案件の細かい作業が重なる | クライアントへの返信、修正の依頼、定例の日程調整が同じ時間帯に重なる | 続く。同時に何件持つかは会社による |
| 自分で作っていない部分まで責任を負う | 遅れても品質が落ちても、説明するのはディレクター | 続く |
| うまく進んで当たり前と見られる | 無事に公開しても成果として見えにくい | 続きやすい。何で評価するかは会社による |
| 公開前やトラブルのときの残業 | 締め切り前は夜も休日も動く | 続く。どのくらいの頻度や長さかは会社による |
| 間に代理店が何社入るか | 代理店を何社も挟むと、予算と日程が削られた状態で降りてくる | 会社による |
| 見積や追加費用を誰が決めるか | 見積、値引き、追加費用を営業が決める | 会社と案件の規模による |
続くとした行は、ディレクターを続けるかぎり、職場が変わっても形を変えて残ります。job tag も、平常時の残業は少なめとしたうえで、「締め切りが迫っていたりトラブルが発生したりすると、夜間残業や休日に仕事をすることもあり、勤務時間は不規則になりがちである」と書いています。
会社を選べば軽くできるのは、間に入る代理店の数と、見積や追加費用を誰が決めるかです。代理店を何社も挟む下請けの構造について、ディレクター自身が「ディレクター個人の努力だけではコントロールできない」と書いている記事があります。見積や予算の責任については、job tag に、小規模な案件ではプロデューサーがディレクターを兼ねることが多く、大規模ではプロデューサーが売上げと利益の責任者、ディレクターが制作の責任者に分かれる、とあります。営業が見積も値引きも決めて、ディレクターには決める権限が無いという形は、制作会社ならどこでも同じというわけではありません。
代理店や営業が間に入らなければ、追加を言い出した担当者と直接話せる
代理店や営業が間に入らなければ、追加を言い出した担当者に、こちらから条件を出せます。
冒頭の例なら、フォームの追加は公開を 1 週間遅らせるか、公開後の第 2 弾に回す。ビジュアルの差し替えだけなら間に合う。この中から担当者に選んでもらえます。今は代理店と営業を通るあいだに、追加費用なしで対応するという話にまとまってから下りてきています。
ただ、断りやすくなるわけではありません。社外の担当者より、社内の事業部長のほうが断りにくい場面もあります。事業会社では、お金の交渉ではなく優先順位の交渉になり、どれを後回しにするかを最後に決めるのは事業部です。ディレクターが自分で持てるのは、選択肢を用意して決めてもらうまでの段取りです。
辞める前に、今の会社でも試せることがある
次の代理店案件で、営業に一つだけお願いしてみる方法があります。公開前に追加が来たら、代理店に返事をする前に 30 分だけ時間をもらい、そのあいだに必要な作業時間と、公開日をずらす案を出す、という頼み方です。この案件のこの場面、と範囲を絞って頼むほうが通りやすく、断られたときも理由がはっきりします。
営業に代理店との関係を理由に断られたら、間を空けずに、同じ案件について上司に相談します。間が空くと、その案件で追加の依頼が先に来てしまい、試す機会がなくなるからです。このとき、通らなければ辞める、という言い方はしません。知りたいのは、今の立場から進め方を変えられる会社かどうかだからです。
営業にも上司にも、具体的な案件で頼んで受け入れられなかったなら、この会社ではディレクターの立場から追加を押し返すのは難しい、と判断する材料にしてよいと思います。
転職活動は、その結果を待たずに並行して始めて構いません。上司への相談で分かるのは今の会社のことで、求人を見たり面接を受けたりして分かるのは、ほかの会社でディレクターがどこまで任されているかです。面接で最近の案件の様子を聞いていくと、今の会社のやり方のどこが普通で、どこが違うのかも見えてきます。
求人票からは、追加を誰が押し返せるかまでは分からない
当サイトの掲載求人では、受託・支援の会社の約 30% が、見積・予算・収支の管理を仕事内容に書いていました。ただ、それだけでは、ディレクターが追加の見積を出せる会社かどうかは分かりません。最初の見積を作るのか、収支を確認するだけなのか、追加費用の交渉まで担当するのかは、書き方から区別できないからです。営業が受注した案件をディレクターが引き継ぐ、と書いている会社は 5% 未満で、営業との役割分担はほとんど書かれていません。
代理店経由の案件がどのくらいあるかは、当サイトでは求人票から数えていません。少なくとも、見積や役割分担と同じく、求人票だけを頼りに判断できるものではありません。見積・予算と書いてある会社なら、面接でその中身を聞くきっかけにはなります。
面接では、最近の案件で追加費用や日程の変更が通ったかを聞く
会社の方針を聞くより、最近実際にあった案件のことを聞いたほうが、誰がどう動いたかが分かります。聞くのは次の 3 つです。
- 公開前に追加の要望が来た最近の案件で、追加費用か公開日の変更は通りましたか。誰が交渉しましたか
- 直近の半年の案件のうち、代理店経由と直接の依頼は、それぞれどのくらいでしたか
- いまのディレクターは、1 人で同時に何件持っていますか
1 の答えが営業でも、それだけで悪い会社とは言えません。大事なのは交渉した人の肩書きではなく、追加が来たときに誰かが押し返せたかどうかです。営業がきちんと押し返してくれる会社なら、それで十分です。
よくある質問
事業会社に移ると、年収は上がりますか?
事業会社に移ったときに上がるか下がるかを示す資料は手元に無く、この記事では示せません。比べるときに気をつけたいのは固定残業代です。今の年収と応募先の年収に、それぞれ固定残業が何時間分含まれているかをそろえてから比べると、見かけの差に惑わされずに済みます。受けたい会社に近い事業会社の求人を数件選び、固定残業の時間をそろえて並べれば、比べる目安になります。
事業会社に移れば、同時に持つ件数は減りますか?
会社によります。件数が減ると書いた資料は見当たらず、社内からの依頼が 1 人に集まることもありえます。当サイトの掲載求人で、1 人が担当する案件の数や担当の仕方を書いている会社は約 10% で、書いてある例でも「一人が担当する案件としては月10件程度」から「同時並行で平均3~5件」まで幅があります(どちらも受託の会社の求人の例です)。実際の件数は面接で聞くのが確かです。
代理店案件で公開前の追加に対応してきた経験は、面接でどう話せばいいですか?
謝った場面をそのまま話すと、謝りながら案件を進めただけ、と受け取られやすくなります。何を守ったか、そのために何をどう決めたか、次はどうしたいかの順で話します。たとえば、公開日を守るために追加の中身を確認し、社内のデザイナーと外注のコーダーの空き状況を見て作業を割り振った。本当は代理店に返事をする前に、日程をずらす案を出したかった。事業会社では、そうした案を自分から出せる立場で働きたい。こう話せば、転職の理由とこれまでの経験がつながります。今の会社で 30 分もらう頼みが一度でも通れば、それがいちばん話しやすい例になります。
何回頼んで通らなければ、見切っていいですか?
決まった回数はありません。回数より、次の代理店案件で何か一つでも変わるかを見てください。営業にも上司にも、具体的な案件で頼んで受け入れられなかったなら、それが判断の材料になります。
この記事のデータと出典について
- 当サイトの数字は、2026 年 9 月 30 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた Webディレクター・プロデューサーの求人のうち、題名から Web のディレクター・プロデューサーの仕事と読めるものを、会社単位で数えました。その区分に当たる求人を 1 件以上出している会社の割合で、5% 単位に丸めています。受託・支援か自社かは、1 社ずつ目で見て分類しました。求人票に書いてあるかで判定したもので、書いていないことは、無いことを意味しません。日本の求人全体の数字ではなく、小規模な制作会社の求人がどれだけ含まれるかは確かめていません
- 1 人が担当する案件数の例は、掲載求人の原文から写したもので、どちらも受託の会社の求人です。事業会社の求人の例ではありません
- ディレクターの仕事の中身とプロデューサーとの分担は、厚生労働省 job tag「Webディレクター(Web制作会社)」(2026 年 10 月 9 日確認)によります。job tag の記述は制作会社の働き方が中心で、事業会社の働き方は転職情報の記事と働いている人の声をもとにしています
- 社内の相手とのやりとりのつらさと、代理店を挟む構造については、個人の声として紹介しています
- 当サイトの見立てとして書いたのは、謝ってばかりになる理由の分け方、代理店や営業が間に入らなければ追加を言い出した担当者に条件を出せること、社内の事業部長のほうが断りにくい場面があること、事業会社では優先順位の交渉になり、ディレクターが持てるのは選択肢を用意して決めてもらうまでの段取りであること、営業が交渉する会社でも押し返せれば十分なこと、社内からの依頼が 1 人に集まることがありうることです
- 当サイトの助言として書いたのは、営業や上司への頼み方と順番、転職活動を並行してよいこと、面接での聞き方と経験の話し方、固定残業の時間をそろえた年収の比べ方です。頼み方や話し方がどう受け取られるかは、会社や相手によって変わります