職種の求人市場
ITコンサルタントはやめとけって本当?SIerから移る前に知りたい終電と年収
「ITコンサルはやめとけ」の理由のうち、忙しさの山と、資料と会議で合意を作る仕事はどこのファームでも付いてきます。終電・土日の多さと、資料づくり、会議の進行や調整ばかりで何を作るかを決める側に回れないかは、入る案件で変わります。SIer から移るか迷う人に向けて、向いているかの確かめ方、年収の比べ方、面談で聞くことをまとめました。
公開 2026年9月27日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月27日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・忙しさの山と、資料と会議で合意を作る仕事は、どこのファームに移っても付いてくる
- ・終電・土日の多さと、何を作るかを決める側に回れるかは、会社名や求人票では分からず、面談で月と人を指定して聞く
- ・年収は額面ではなく、固定残業代の内訳と、今の残業代込みの時給で比べる
目次開く閉じる
SIer で 8 年、要件定義から基本設計までを持っている 30 歳の人に、大手コンサルファームから ERP 導入のコンサルタントのスカウトが届いたとします(架空の例です)。年収は 150 万円ほど上がりそう。でも、先にファームへ移った同期は「最初の 1 年は終電が当たり前、議事録とパワポばかりだった」と言う。検索すると「ITコンサルタント やめとけ」が出てくる。終電や土日の仕事はもう無理で、資料づくり、会議の進行や調整ばかりで何を作るかを決める側に回れないなら、移る意味がない。
やめとけと言われる理由のうち、どこのファームに移っても付いてくるのは、忙しさが案件の局面で山になることと、資料と会議で顧客の合意を作る仕事です。 終電や土日がどれだけ当たり前か、資料づくり、進行や調整だけで終わるかは、入る案件で変わります。ただ、それは求人票にも会社名にもほとんど表れません。分かるのは、面談で「いつの月の、誰の話か」を指定して聞いた時です。
どこのファームでも付いてくるのは、忙しさの山と「合意を作る」仕事
忙しさは、案件の局面で山になる
ITコンサルタントの忙しさは一定ではありません。厚生労働省の job tag は、IT 戦略・DX 戦略をまとめる時、システム開発の方向を決める時、新たに検討することが出た時に会議が長引くことがある、と書いています(「ITコンサルタント - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)。検索上位の転職情報の記事には、提案の時期と納期の前に山が来る、という書き方もあります。山の高さは案件で変わりますが、山が来ること自体は、どのファームを選んでも避けにくいと考えておくのがよいと思います。
成果物が、設計書から「合意」に変わる
SIer の要件定義でも、情報システム部門と要件の合意は取っていると思います。ITコンサルタントでは、その合意を取る作業そのものが仕事の中心になります。
SIer から移った人の声に、資料作りと会議の進行の量が想像以上だった、というものがあります。顧客の経営層の前で論点を整理して、その場で決めてもらう。議事録を取りながら次の一手を考える余裕が無く、先輩に何度も助けてもらったそうです。job tag でも、よく使う道具は文書作成・表計算・プレゼン資料のソフトで、仕事に求められる力の中で、説明力が高く出ています。
もう 1 つ、要件が決まっていない所から始まります。SE の頃は要件が比較的はっきりしていたが、移った先では「なぜそう判断したのか」を問われ続けた、という声があります。細部を積み上げるやり方から、全体を見てゴールを決め、問題を切り分けるやり方に切り替えるのに、先輩や上司との壁打ちを 3 か月ほど続けたそうです。
つまり、パワポと会議はどこへ行っても残ります。避けたいのが「パワポそのもの」なのか、「パワポだけで終わること」なのかで、この仕事が合うかどうかが変わります。
仕事は「アサイン」で決まる
ファームではプロジェクトに割り当てられて入り(アサイン)、終われば抜けます。前のプロジェクトでの評価や社内のキーパーソンとの関係で次のアサインが決まりやすい、という声があります。案件が変わるたびに業界や仕組みを覚え直すことになり、プライベートの時間を使って覚えたという声もあります。自分の希望だけでは次の仕事が決まらない、と考えておくのが近いです。
終電・土日と、何を作るかを決める側に回れるかは、入る案件で変わる
終電と土日の多さ
深夜まで働く、土日に手を動かすのが「わりと当たり前」だった、という声は、中途で入った人からも出ています。プロジェクトの佳境では終電後の帰宅や休日出勤が珍しくなかった、という声もあります。一方で、検索上位の転職情報の記事は、残業は勤め先や時期によって異なると書き、同時に 2〜3 件の案件を掛け持つのも「ファームによっては」と書いています。
同じ会社でも、どの案件のどの局面に入るかで山の高さは大きく変わります。先に移った同期も中途で入った人です。中途だから軽いとは限らず、同期が終電続きだったのは、そのとき入った案件とその局面で決まった面が大きいと当サイトは考えています。だから、会社の評判で当たりをつけるより、自分が入る予定のチームと案件について聞くほうが確かです。
資料づくり、進行や調整「だけ」で終わるか
資料づくり、会議の進行や調整は、どの立場でも付いてきます。困るのは、それだけで終わり、何を作るかを決める側に回れない場合です。長い間、顧客の雑務を担う「高級派遣」のような仕事が中心だったという声や、移った後の仕事が PMO や要件定義まわりが中心だったという声があります。検索上位の記事も、上流に強いファームとパッケージ導入・PMO が中心のファームを分け、「案件によっては」PM や PMO の役回りになると書いています。
ここは求人票の仕事内容では見分けられません。当サイトの掲載求人では、題名にコンサル・PMO がある求人を出す会社のうち約 80% が、上流の仕事を指す語と、導入や PMO のような語の両方を、1 件の求人に書いていました。
向いているのは、「何を作るか決める打合せ」が面白い人
今の要件定義の仕事を思い出してください。「何を作るか」を決める打合せと、「決まったものを設計に落とす」作業の、どちらが面白いでしょうか。
前者なら、ITコンサルタントの仕事と相性がよいと当サイトは考えます。顧客の情報システム部門と「この業務、本当にシステムでやる必要がありますか」と詰めるような打合せが、仕事の中心に近づきます。議事録やパワポは合意を作るための道具なので、量は多くても、その作業そのものは苦になりにくいかもしれません。
後者が好きなら、移った後は仕事の中心が合意づくりに移り、物足りなく感じる可能性が高いと考えます。ただ、job tag によると、ITコンサルタントの仕事は経営戦略寄りから開発寄りまで幅があります。設計に近い所にいたいなら、開発寄りの案件があるかを先に確かめてください。
年収は、前者の仕事を自分の中心にした結果としてついてくるもの、くらいに考えておくのが外れにくいです。年収だけが理由なら、次の節の比べ方で見ると、思ったほど差がないこともあります。
年収が本当に上がるかは、固定残業代の内訳で決まる
SIer の年収が残業代込みなら、額面だけで比べると差を大きく見積もりがちです。ファームの想定年収に固定残業代(みなし残業)が含まれていて、山の月に何時間働いても額が変わらない形なら、額面の差ほど時給は上がりません。
当サイトの掲載求人では、題名にコンサル・PMO がある求人を出す会社のうち、固定・みなし残業の時間を書く会社が約 30%、裁量労働制と書く会社が約 20% でした。みなし残業の時間は給与に含まれる時間で、実際に働く時間ではありません。
比べる時は、今の年収を、ふだんの月と繁忙期の残業まで入れた 1 年の労働時間で割ります。オファーのほうは、基本給・固定残業代・賞与の内訳と、何時間分の残業を前提にした額かをもらって、同じように割ります。年間の残業が数百時間ある人なら、今の時給は思ったより悪くないはずです。
額の水準の目安は、job tag の統計にあります。職業分類「ITコンサルタント」などに対応する統計では、年収は全国で 889 万円、平均年齢は 38.3 歳です。企画立案・プロジェクト管理の分野の ITSS レベル 3 では、600〜900 万円が中央の半分の人の幅です(「ITコンサルタント - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)。想定 700〜850 万円という提示なら、この幅に収まります。
終電の案件かどうかは、面談で月と人を指定すれば分かる
入社時の職位、最初から論点を立てる側に回れる確率、規模や種類ごとの忙しさの違いは、比べられるデータがありません。求人票もほとんど頼りになりません。当サイトの掲載求人では、題名にコンサル・PMO がある求人を出す会社のうち約 75% が、残業の数字をどの求人にも書いていませんでした。
その代わり、面談で聞き方を工夫すれば分かります。「残業はどれくらいですか」と聞くと、平均の話になって「案件によります」で終わります。月と人を指定して聞いてください。
- 「私が入る想定のチームで、直近の案件のいちばん忙しかった月は、何時ごろまで働いていましたか。土日に作業した週はありましたか」。面談の相手に「あなた自身の先月はどうでしたか」と聞けると、さらに実態に近くなります
- 「決まった曜日は 18 時に出たいのですが、そういう働き方で入っている人は今いますか。どんな案件にアサインされていますか」。入ってから言うより、内定前に出して反応を見るほうが確かです。「案件によっては可能です」とぼかされたら、「その方に 30 分ほどお話を伺えますか」と頼んでください。実在の人が出てこなければ、今の時点では無理だと受け取ってよいと思います
- 「最初のアサインで、私が持つ役割と成果物は何ですか。会議で私が進行役をする場面はありますか」。資料づくり、進行や調整の担当として扱われるのか、論点を立てる側として扱われるのかが分かります
- 「想定年収のうち、基本給・固定残業代・賞与はそれぞれいくらですか。固定残業代は月何時間分で、超えた分は払われますか。裁量労働制ですか」。前の節の時給の比べ方に使います
スカウトが 1 社だけだと、その答えが良いのか悪いのか判断できません。ファームをもう 1 社、事業会社の情報システム部門を 1 社くらい並行して受け、同じ質問を並べると比べやすくなります。
よくある質問
中途で入る 30 歳でも、最初の 1 年は終電ですか?
中途だから軽い、とは言えません。中途で入った人からも、深夜や土日の作業が当たり前だったという声が出ています。終電が続くかを決めるのは、年次より入る案件とその局面です。面談の 1 つ目の質問で、入る予定のチームについて聞いてください。
最初は資料づくり、進行や調整の担当になりますか?
資料づくり、会議の進行や調整は、どの立場でも付いてきます。要件定義と協力会社の管理を経験してきた人なら、論点を立てる側に回れる余地はあると当サイトは考えます。ただ、移った後の仕事が PMO や要件定義まわりが中心だったという声もあるので、面談の 3 つ目の質問で、最初の役割と成果物を確かめてください。
合わなかった時、SIer や事業会社の情報システム部門に戻れますか?
戻る道はあります。ファームを経て事業会社や小さな IT 企業に移った人の声は見つかります。ERP 導入や業務改革の経験は、事業会社の情報システム部門や SIer の上流の仕事と話がつながりやすいと考えます。短い在籍で移るなら、何を任されたかを説明できるかが効くので、ここでも最初のアサインの中身が大事になります。
大手と小さいファームで、忙しさは違いますか?
会社の規模や種類で忙しさを当てるのは難しいと考えます。大手は誰が抜けても止まらない体制と教育の仕組みがある一方、個人は特定の領域の担当になりやすい、という声はありますが、これは忙しさの話ではありません。同じ会社でも案件と局面で大きく違うので、会社ごとに「直近のいちばん忙しかった月」を聞いて並べるほうが確かです。
年収を上げたいだけなら、情報システム部門や他社の SIer の PM のほうが安全ですか?
両立のしやすさで比べるなら、年収の差より、忙しさの山がどれくらい予測できるかで比べるのがよいと思います。ファームは案件が変わるたびに山が来て、次にどこへ入るかもアサインで決まります。事業会社の社内の仕事は、ファームのようなプロジェクト単位の割り当てとは違うので、山の時期を読みやすいと考えます。どちらがいくらになるかは、同じ転職サイトで求人の提示年収を並べて見るのが早いです。
この記事の数字と声について
- 当サイトの数字は、2026 年 9 月 27 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた ITコンサルタントの求人のうち、題名にコンサル・PMO があるもの(営業職と、IT の語が無い人事・M&A・会計・マーケティングなどの題名は除いた)を、会社単位で数えました(書いている=当てはまる求人を 1 件以上出す会社、書いていない=どの求人にも書いていない会社)。仕事内容や勤務時間などの欄に語があるかで判定し、項目ごとに一部の求人を目で見て拾い方を直したうえで、5% 単位に丸めています。日本の求人全体の数字ではありません。書いていないことは、無いことを意味しません
- 会議が長引く時期、よく使う道具、仕事に求められる力、仕事の幅、年収は、厚生労働省 job tag「ITコンサルタント」(2026 年 10 月 9 日確認)によります。全国の年収と平均年齢は令和 7 年賃金構造基本統計調査を加工した、職業分類「ITコンサルタント」などに対応する統計で、必ずしもこの職業だけの数字ではありません。ITSS レベル 3 の幅は 2023 年度の委託調査による第 1〜第 3 四分位です
- 終電や土日、資料と会議の量、壁打ちの期間、高級派遣のような仕事、アサインの決まり方、移った後の行き先などは、ファームで働いた人・働いている人の体験談を個人の声として紹介しています。どれくらいの人に当てはまるかは分かりません。忙しさの山の時期(提案の時期と納期の前)、残業や掛け持ち、ファームの分け方についての記述は、検索上位の転職情報の記事によります
- 向いている人、年収の水準の読み方、面談の聞き方と答えの受け取り方、並行して受ける社数、戻れる道の見立て、事業会社の社内の仕事は山の時期を読みやすいという両立のしやすさの比べ方は、当サイトの判断と助言です