職種の求人市場
セキュリティエンジニアを辞めたい?夜勤とアラート対応はどこでも同じか
夜勤があるのは SOC の監視の仕事で、アラートを判定して次々に流していく仕事は、その中の一次監視(L1)という担当の働き方です。どちらもセキュリティの仕事全体の特徴ではありません。担当を変えれば抜ける道はありますが、社内セキュリティに移ると、他部署との調整や夜間の呼び出しが増えることもあります。どの担当でも続くこと、一次判定の経験を面接でどう話すか、今の会社で L2 を目指す時の見極め方、確かめる質問をまとめました。
公開 2026年9月30日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月30日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・夜勤は SOC の監視に、アラートを判定して流していく仕事はその中の一次監視(L1)にあるもので、セキュリティ全体の特徴ではない
- ・社内セキュリティに移ると交代制の夜勤からは外れやすいが、他部署に頼む場面や少人数で抱える場面が増え、夜間の呼び出しも無くなるとは限らない
- ・学び続けること、何も起きないことが成果であることは担当を変えても続く。抜けられるかは、直近の出来事を聞いて確かめる
目次開く閉じる
SOC のアナリストになって 4 年。夜勤が月に何回もあるのに、仕事は顧客のアラートが誤検知かどうかを判定して、報告書を書くことばかり。L2 に上がる枠も空かない(架空の例です)。セキュリティの仕事を続けるなら、ずっとこのままなのかと考えてしまいます。
夜勤があるのは SOC の監視(とくに一次監視)の仕事で、アラートを判定して次に流していく仕事は、その中の一次監視(L1)という担当の働き方です。どちらも、セキュリティの仕事全体の特徴ではありません。 セキュリティをやめなくても、担当を変えればここから抜ける道はあります。
社内のセキュリティ部門に移れば、交代制の夜勤からは外れやすくなります。その一方で、他部署に対策を頼んで押し返される場面や、少人数で監視から教育まで抱える場面が増えることがあります。夜間・休日の呼び出しも、無くなるとは限りません。新しい攻撃や技術を学び続けることと、何も起きないことが成果になることは、どの担当に移っても続きます。
夜勤があるのは、セキュリティの中でも SOC の監視の仕事
厚生労働省の job tag は、SOC で監視と対応をする仕事(「セキュリティエキスパート(オペレーション) - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)について、24 時間 365 日の監視なので 2 交代か 3 交代の交代制が一般的、と書いています。一方で脆弱性診断の仕事(「セキュリティエキスパート(脆弱性診断) - 職業詳細」、2026 年 9 月 30 日確認)は、労働時間や休日などが通常の IT 企業の会社員とあまり変わらない、とされています。
何年やっても力がついた気がしないのは、担当の範囲にも原因があります。この例のような L1 では、アラートの一次判定と定型の報告書が中心で、本格的な分析や顧客への説明は L2 や別のチームが担当します。どこまでを L1 が担当するかは、会社によって分け方が違います。
SOC で働いていた人の声として、地味な作業ばかりで他の職種に応用しにくく、「SOCを辞めたいけど、SOC以外転職先がない」状況になりやすい、と書くブログがあります(「セキュリティエンジニアになりたいからって、SOCは止めとけ」、2022 年 4 月 13 日公開)。
同じ SOC でも、夜勤の重さは会社で違います。job tag によれば、大規模な SOC では時差のある複数の拠点がそれぞれ日中に監視して 24 時間をつなぐ会社もあります。夜間の一次対応を協力会社に任せ、社員は平日の日中に対応すると書く求人もあります。
※一次アラート対応は協力パートナーと協業して対応しているため、基本的には社員は平日日中帯での対応ですが、緊急の場合に休日夜間の初動対応をリモートで行う場合があります。
当サイトの掲載求人(2026 年 9 月 30 日時点)でも、その仕事に交代制や夜勤があると求人票に書いていた会社は、どれも SOC 系の題名の求人でした。ただ、SOC の求人でも、交代制や夜勤について求人票に書いていない会社のほうが、書いている会社よりずっと多くあります。書いていないからといって、日勤だけとは言えません。
辞めたくなる場面のうち、担当や会社で変わるのはどれか
辞めたくなる場面ごとに、原因がどこにあるかと、担当や会社を変えた時にどうなるかを並べました。
| 辞めたくなる場面 | 原因のある場所 | 担当や会社を変えると |
|---|---|---|
| 夜勤・交代制で生活が崩れる | SOC の監視 | 社内セキュリティや診断なら外れやすい。同じ SOC でも、夜間の一次対応を誰が担当するかで変わる |
| 一次判定から先に進めない | SOC の一次監視 | L2 へ上がる道があるかは会社で違う |
| 学ぶのが終わらない | 仕事そのもの | 続く。学ぶ時間と費用の支援は会社で違う |
| 何も起きないことが成果で、働きが見えにくい | 仕事の性質に近い | 続く。評価の基準と評価する人は会社で違う |
| 事故が起きたら時間を選べない | 仕事そのもの | 続く。どれだけの頻度で誰に回ってくるかは担当と会社で違う |
| 見落としが怖い | 仕事そのもの | 続く。一人で判断するか、確認する人がいるかは会社で違う |
| 対策を頼んで押し返される | 担当で量が違う | 社内セキュリティに移ると増えやすい |
| 少人数で何もかも抱える | 会社 | 専任と兼務の人数で変わる |
学び続けることについては、job tag も、新しい技術や製品の情報を常に把握し、対処法を常に更新することが重要、と書いています。防いだ攻撃はログに残るだけなので、何も起きなかった月の評価は、問題なく回した、という程度で終わりやすくなります。この 2 つは、SOC から移っても続きます。
学ぶ時間が足りないのは、事情が少し違います。学ぶこと自体はどこでも続きますが、夜勤明けの時間や試験の前日を削っているのは、交代制のシフトのほうです。
社内セキュリティに移ると、夜勤の代わりに増えること
夜勤から抜ける先としてまず思い浮かぶのが、社内のセキュリティ部門です。ただ、仕事の中身は SOC と違います。
1 つ目は、他部署に頼む仕事が増えることです。パッチ当てや設定変更、ルールを守ってもらうことを頼むと、使い勝手が落ちる側から押し返されやすくなります。IPA の中核人材育成プログラムの受講生がまとめた卒業プロジェクト(「愛されるセキュリティ部署になるには」、2021 年)も、セキュリティ部門は「面倒な対応を押し付けてくる」などと見られることがある、と書いています。当サイトの掲載求人(2026 年 9 月 30 日時点)では、社内への啓発や他部署との連携を仕事内容に書いている会社が、社内・コーポレート系の題名の求人を出す会社では約 6 割、SOC 系の題名の求人を出す会社では約 4 社に 1 社でした。
2 つ目は、少人数で、監視も規程づくりも教育も問い合わせも引き受けることです。専任の 1 人目として迎える、と書く求人もあれば、「セキュリティチーム:3名(1名専任、2名兼務)」のように人数を書く求人もあります。
3 つ目は、夜間・休日の呼び出しが残りうることです。交代制の夜勤は無くても、重大なアラートやインシデントの時に呼ばれる求人は、社内セキュリティや診断にもあります。社内のコーポレートセキュリティの求人には、こう書くものがあります。
※なお、クリティカルなセキュリティアラートやセキュリティインシデント発生時には、夜間・休日対応が必要な場合があります。
呼ばれる回数は会社でまるで違います。担当の区分を問わず、求人票に次のように書く会社もあります。
※オンコールは月に1~2回ですが、休日や夜間に発生するのは50%程度です。
休祭日・夜間の対応は稀に発生します(年間で1回未満)が、基本的にはワークライフバランスを保ちやすい環境です。
一次判定だけの 4 年でも、面接で話せることはある
手順書どおりの判定でも、どのアラートをどの手順に当てはめるか、誤検知として閉じるか L2 に上げるかは、毎回自分で決めています。L2 に上げるかどうかを決めるのが一次判定の仕事なので、L2 に上げたこと自体があなたの判断です。
面接では、年数より 1 件の中身を話すほうが伝わります。たとえば、夜勤明けに不審な通信を追って L2 に上げた件なら、次の順で話せます。
- いつもの誤検知と何が違って見えたか(顧客の端末から、普段は通信しない海外の宛先への通信が、深夜ではなく業務開始前の朝に何度も出ていた、など)
- L2 に上げる前に何を確かめたか(通信先、時間帯、同じ端末のほかのログ)
- 上げたあと、どうなったか
誤検知と判断した件を後から見直したことがあるなら、それも話せます。顧客向けの報告書を書いてきたことは、詳しくない相手に状況を伝える経験として、社内セキュリティでも使えます。前職でサーバーの運用をしていた人なら、パッチ当てを頼まれる側にいた経験が、頼む側に回った時に生きます。
一方で、社内セキュリティに移った時に不足しやすいのは、社内の人に対策を頼み、実際に動いてもらった経験です。今の職場で、報告書を渡した先の対応まで追ってみると、その材料になります。
今の会社で L2 を目指すなら、待つ年数より枠が空く見込みを見る
今の会社に残って L2 を待つのも、選択肢です。何年まで待ってよいかの目安は、この記事では示せません。決め手になるのは年数より、枠が空く見込みがあるかです。
上司に聞く場は、評価面談で十分です。今期の評価を聞いたあとに、次の 1 年は分析にも関わりたいと伝え、これまで L2 に上がった人がどういう経緯だったかを聞きます。人数を聞くより経緯を聞くほうが前向きに聞こえ、残る道を確かめる質問なので、辞める話にも聞こえません。最近は上がった人がいない、という答えなら、待っても枠が回ってくる見込みは薄いと考えてよいと思います。
枠を待つあいだ、L2 の分析に一部でも入れてもらえるかも、同じ場で聞けます。人が辞めてシフトの穴を埋めている時期なら、L1 の人手を減らしたくない事情があるのかもしれません。そうした事情があるのかどうかも、聞いてかまいません。
夜勤と L1 の仕事から抜けられるかは、直近の出来事を聞けば分かる
求人票だけでは分からないので、会社の方針ではなく、直近に実際にあったことを聞きます。
- 今の上司に: この 1〜2 年で L1 から L2 に上がった人は、どういう経緯でしたか
- 応募先に: このポジションで、先月の夜勤は何回でしたか。夜間の一次対応は誰が担当していますか
- 応募先に: 直近半年で、夜間や休日に呼ばれたのは何回ですか
- 応募先に: この 1〜2 年で、一次監視だけの経験から入った人、一次監視から分析やインシデント対応に移った人はいますか
社内セキュリティの求人にインシデント対応の経験が書いてあっても、それが必須の欄ではなく歓迎の欄にあるだけなら、それで外れたとは限りません。一次監視だけの経験から入った人がいるかどうかで、自分が入る余地があるかが見えます。
日勤に移ると、夜勤手当は無くなる
日勤の仕事に移ると、夜勤に付く手当は無くなります。今の年収のうち夜勤手当がいくらかを、給与明細でまず分けておきます。日勤の求人の提示額と比べる時は、今の年収から夜勤手当を抜いた額を使います。年収の水準はセキュリティエンジニアの年収の記事で扱っています。
よくある質問
セキュリティを辞めるのはもったいないですか?
夜勤と一次判定の繰り返しから抜けるのが目的なら、セキュリティをやめる前に、担当を変える道があります。一次判定の経験は、セキュリティの中で担当を変えるなら生かせますが、セキュリティの外では生かせる場面が限られます。
夜勤の無い SOC はありますか?
交代制の夜勤が無い SOC はあります。大規模な SOC で拠点ごとに日中だけ監視する会社や、夜間の一次対応を協力会社に任せ、社員は平日の日中に対応すると書く求人もあります。ただし、その求人には、緊急の場合は休日や夜間に初動対応を行う場合がある、とも書かれていて、緊急時の夜間・休日の対応はありえます。また、求人票に夜勤を書かない SOC も多いので、夜勤の回数と一次対応を誰が担当するかは面接で聞いてください。
情報処理安全確保支援士は取ったほうがいいですか?
job tag は、SOC の仕事に必須の資格は無いが、合格すると企業によっては手当が付く場合もある、と書いています。転職でどう評価されるかは応募先によります。夜勤のある人が受けるなら、申し込んだ時点で、試験の前日に夜勤が入らないようシフトの希望を出しておくと、夜勤明けで試験に行けなくなることを避けやすくなります。
診断に移れば、夜勤も呼び出しも無くなりますか?
job tag では、診断の仕事の労働時間は通常の IT 企業の会社員とあまり変わらないとされています。交代制の夜勤からは外れやすいと言えます。ただ、夜間・休日の対応を書く求人は診断にもあるので、呼び出しが無いとまでは言えません。
この記事の数字と声について
- 当サイトの数字は、2026 年 9 月 30 日時点で当サイト PREVIO に掲載していたセキュリティエンジニアの求人のうち、題名にセキュリティ・SOC・脆弱性・診断などの語があるものを、会社単位(その区分に当たる求人を 1 件以上出している会社)で数えた割合です。日本の求人全体の数字ではありません。担当領域は求人の題名で分けました。数えたのは求人票に書いてあるかどうかで、実際の働き方ではありません。書いていないことは、無いことを意味しません。引用した求人の文言は求人票の原文どおりで、会社名は出していません
- SOC と脆弱性診断の勤務の説明は、厚生労働省 job tag の「セキュリティエキスパート(オペレーション)」「セキュリティエキスパート(脆弱性診断)」によります。job tag に「セキュリティエンジニア」や社内セキュリティの職業は無いので、社内セキュリティの説明には使っていません
- 前職で SOC にいた人の声は個人のブログ 1 件です。IPA のページは受講生の卒業プロジェクトで、IPA の公式見解ではありません
- 一次監視から移れる人の割合、日勤に移った時に年収がどれだけ下がるか、待つ年数の目安は、当サイトでは分かっていません
- 次は当サイトの見立てと助言です
- 力がついた気がしない原因の一部が担当の範囲にあること
- L2 に上げたこと自体が一次判定の判断であること、面接での話し方の順番
- 報告書や運用の経験が社内セキュリティで生きること、社内に移った時に不足しやすい経験
- 待つかどうかを枠の見込みで決めること、評価面談での聞き方と答えの受け取り方
- 歓迎の欄にあるだけなら外れたとは限らないこと
- 試験の前日の夜勤を外す希望を先に出すこと
- セキュリティの外では一次判定の経験を生かせる場面が限られること