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エンジニアリングマネージャーはつらい?評価の結果を説明するだけの役になる会社の見分け方

自分で決めていない評価や会社の判断をメンバーに説明する役は、EM を続ける限りどの会社でも残ります。会社で違うのは、説明する中身を自分で決められるかどうかです。枠の数と理由を先に知らされるか、枠を決める場に EM がいるかで分かれます。今の会社で確かめる頼み方、他社の面接で直近の例を聞く質問と答えの読み方、IC に戻る前に確かめる順番をまとめました。

公開 2026年9月30日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月30日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・自分で決めていないことをメンバーに説明する役は、EM を続ける限りどの会社でも残る
  • ・会社で違うのは、説明する中身を自分で決められるか。枠の理由を先に知らされるか、枠を決める場に EM がいるかで分かれる
  • ・今の会社では次の評価の前に枠と理由を教えてほしいと頼み、他社の面接では直近で昇格が通らなかった例を聞くと見分けられる
目次開く
  1. 01EM のつらさのうち、会社を変えても残るもの、変わるもの
  2. 02説明するだけの役になるかは、枠の理由を先に知らされるかで決まる
  3. 03今の会社でも応募先でも、最近の評価で何が起きたかを聞けば分かる
  4. 04メンバーに会社の判断をどこまで話していいか
  5. 05EM を降りて IC に戻るなら、社内で先に確かめる順番
  6. 06求人票では、EM が手を動かすかどうかはほとんど分からない
  7. 07よくある質問
  8. 08この記事の数字と声について

EM を 3 年続けている人がいるとします(架空の例です)。評価の時期に、いちばん伸びたメンバーの昇格を推したのに、会社が決めた昇格の枠(その期に上げられる人数)に入らず、通らなかった。決めたのは自分ではないのに、本人への説明は自分の役目で、面談では「会社の判断で」としか言えなかった。しばらくして、そのメンバーから退職の相談を受けた。これは EM ならどこでも同じなのか、今の会社がきついだけなのか。

自分で決めていないことをメンバーに説明する役は、EM を続ける限りどの会社でも残ります。 会社と現場の間に立つのが EM の仕事だからです。

会社で違うのは、説明する中身を自分で決められるかどうかです。 枠の数とその理由を面談の前に知らされる会社、枠を決める場に EM が出ている会社なら、通らなかった理由を自分の言葉で話せます。理由を知らされないまま結果だけ渡される会社では、EM は説明するだけの役になります。どちらの会社かは、今の会社でも応募先でも、最近の評価で実際に何が起きたかを聞けば見分けられます。

EM のつらさのうち、会社を変えても残るもの、変わるもの

EM を辞めたくなる場面を並べると、EM である限り付いてくるものと、会社で重さが変わるものに分かれます。

つらい場面会社を変えたら
1on1・評価・面接・目標設定で週が埋まる仕事としては残る。量は直属の人数と評価の回数で変わる
自分の成果を実感しにくい残る。成果は自分の手ではなく、チームの成果として表れる
決めていないことを説明する間に立つ役は残る。説明する中身を自分で決められるかは会社で変わる
手を動かす割合会社で変わる。実装を持ちながら回す会社も、ほぼ 0 になる会社もある
予算や評価制度の設計まで任される会社で変わる。テックリードや PM が別にいて、役割を分けているかによる
EM を降りる道が見えない会社で変わる。引き継げる人と相談できる上司がいるかによる

評価・1on1・育成・採用といった人に関わる仕事は、EM を続ける限り移った先でも付いてきます。当サイトの掲載求人では、EM・開発マネージャーの求人を出す会社の約 8 割が、評価・1on1・育成・採用のどれかを EM の仕事として書いています。EM を降りれば、こうした仕事は無くなります。

成果の実感しにくさも残ります。EM ではありませんが、ソフトウェア部門のマネージャーやプロジェクトの取りまとめを務めた人が、炎上したプロジェクトと 1 年格闘した後、上司との面談で「うまくできていたのか、できていなかったのかまったく手応えがない」と打ち明けた、という声があります。

説明するだけの役になるかは、枠の理由を先に知らされるかで決まる

評価の結果をメンバーに伝えるのは、どの会社でも EM の役目です。つらいのは、伝えることそのものより、理由を知らないまま伝えることです。

自分の給料が上がらないことより、部下の給料を上げられないことのほうがこたえる、という声があります。「自分の給与を上げられないことよりも、メンバーの評価給与を満足に上げられないことをストレスに感じました」。通らなかった理由を知っていれば、本人の働きぶりではなく枠の問題だったと言えます。知らなければ、「会社の判断で」以上のことは言えません。

EM が持つ権限は、一様ではありません。2019 年に EM のコミュニティの 100 名が答えた調査では、いくらまでお金の決裁ができるかを聞いたところ、決裁権が無い EM が 45% を超えていました(「100名に聞いた!エンジニアリングマネージャーの給与と責務の実態調査」、2026 年 9 月 30 日確認)。お金の決裁の話で、評価や昇格を決める権限を聞いたものではありません。7 年前の、特定のコミュニティの回答なので割合そのものも今の目安になりませんが、同じ EM という肩書きでも、お金の決裁を任される範囲が回答者の間で割れていたことは読み取れます。

だから見分ける軸は 2 つです。

  • 枠の数と理由を、面談の前に EM が知らされているか
  • 枠を決める場に、EM が出ているか

枠を決める場に出られなくても、理由を先に知らされていれば、通らなかった理由を自分で説明できます。いきなり枠を決める場に入れてほしいと頼むより、まず理由を先に教えてほしいと頼むほうが言い出しやすく、今回の出来事をそのまま根拠として話せます。

今の会社でも応募先でも、最近の評価で何が起きたかを聞けば分かる

方針を聞いても、EM の意見を大事にしている、という答え以上のことは出てきにくいと当サイトは見ています。最近あったことを聞けば、実際にどう進んだかが分かります。大事な順に 4 つです。

今の会社の上司に

  1. 次の評価では面談の前に、自分のチームの枠がいくつで、なぜその数なのかを教えてほしい。今回は理由を知らずに説明して、本人に何も返せなかったので。あわせて、聞いた理由を本人にどこまで伝えてよいか
  2. この数年で、マネージャーから開発の担当に移った人はいるか。その時の等級はどうなったか

応募先の面接で 3. 直近の評価で、EM が推した昇格が通らなかった例はあるか。その時、本人への説明は誰がしたか 4. その時、枠の数や理由は面談の前に EM に伝えられていたか。昇格の枠を決める場に EM は出ているか

1 つ目の頼みに対して理由を教えてもらえ、次からは先に伝えると約束してもらえるなら、今の会社でも通らなかった理由を自分で説明できるようになります。断られたり、理由を教えてもらえなかったりするなら、それは EM という役のせいではなく、今の会社のやり方によるものです。

面接の 2 つの質問の答えは、次のように受け取れます。EM も枠を決める場にいた、あるいは理由を先に知らされた、という答えなら、今とは違う会社です。人事と部長で決めて EM は推薦を出すだけ、という答えなら、今と同じ形です。そういう例はまだない、という答えなら、評価の仕組み自体がまだ固まっていない可能性があります。

EM の求人を見る時は、これから EM になる人向けの求人が混じる点に気をつけてください。当サイトの掲載求人では、EM・開発マネージャーの求人を出す会社の約 35% が、求人名に「候補」と付いた求人を出しています。EM としての今の経験がどう扱われるかも、面談で確かめておくとよいでしょう。

メンバーに会社の判断をどこまで話していいか

枠の理由を聞けたとして、それを本人にどこまで話していいかで迷う人もいると思います。リーダーの立場になった人が、会社に都合の悪いことをメンバーにどううまく伝えるかを話し合う会議を見ていて嫌になり、会社を辞めた、という話もあります。会社と現場の間に立つ以上、ここは EM を続ける限り付いてくる部分です。

いちばん確実なのは、上司に枠の理由を聞いたその場で、本人に伝えてよい範囲まで一緒に決めてしまうことです。前回は理由を知らないまま説明する役でしたが、今回は言ってよい範囲を上司と決めてから話せます。

そのうえで線を引くなら、本人の評価に直接関わること(自分が推したこと、通らなかったのは本人の働きぶりではなく枠のためだったこと)は伝えてよいことです。他の人の評価や、全社の枠をどう配ったかは伝えないことです。たとえば今期は全社で昇格の枠を絞った、という理由なら、上司の了解が取れれば、それを伝えるだけで十分です。

退職の相談を受けたメンバーのことは、EM を続けるかどうかとは切り分けて考えてよいと思います。どちらに決めても、そのメンバーにできることは変わらないからです。次の評価で同じことは起きないとは約束せず、引き止めることも目的にしない。本人がこの先を考える時に、判断の材料を渡せる相手でいることです。前回「会社の判断で」で終わった説明を、やり直す機会にはなります。

EM を降りて IC に戻るなら、社内で先に確かめる順番

IC(マネジメントを主な仕事にしない個人貢献者)に戻ることも、選択肢の 1 つです。ただ、他社に IC として入った時にどう扱われるかを示す材料は手元に無く、ここでは言えません。また、当サイトの EM・開発マネージャーの求人の中には、EM から IC に戻れると書いた求人はありませんでした。社内で戻った人を見たことがない、という人もいると思います。だから、まず社内で戻れるかを確かめるのが先です。

順番はこうです。

まず、等級規程や人事規程を自分で読みます。マネージャーのコースと専門職のコースが分かれているかは、上司に聞かなくても分かることが多いはずです。分かれていなければ、戻った時の等級は規程では決まっておらず、上司や人事との相談で決まることになります。

次に、上の 2(戻った人の例と等級)を上司に聞きます。枠の理由を聞く日とは別の日に、先のキャリアを考えたい、という形で切り出すのがよいと思います。枠の話をした直後に IC の話をすると、不満の延長に聞こえやすいからです。

1 回で言い切る必要もありません。社内で EM から QA のメンバーに移った人は、CTO との 1on1 で「なんか最近面白くないんですよねぇ」と切り出し、約 3 週間話して移っています。降りられたのは、引き継げる EM・メンバーがいて、CTO と相談できたからでした。移った後は「マネジメントの振る舞いがなかなか抜けなかった」とも書いています。

次の評価の結果まで待つ必要もありません。その前に、判断の目安を 3 つ持っておけます。枠の理由を教えてもらえるか、次からは先に伝えると約束してもらえるか、戻った人の例や専門職のコースがあるか。3 つとも無い、答えられないなら、次の評価を待たずに判断してよい材料です。どれかが前に進んだなら、次の評価で約束が守られたかを最後の確かめにできます。その間、社外のカジュアル面談を並行しておけば、社内の答えと比べながら決められます。

求人票では、EM が手を動かすかどうかはほとんど分からない

当サイトの掲載求人で EM・開発マネージャーの求人を集計すると、評価・1on1・育成・採用を EM が担うことは、上で書いたとおり約 8 割の会社が書いています。

分からないのは、つらさを左右する部分です。プレイングマネージャーや自らも開発といった言葉で、EM も手を動かすと書く会社は約 20%、マネジメント中心と書く会社は 5% 未満でした。残りの約 75% の会社は、EM が手を動かすかどうかをどの求人にも書いていません。

よくある質問

エンジニアリングマネージャーは管理職ですか?

会社によります。当サイトの掲載求人では、管理監督者・残業代の対象外と書く会社は約 10% でした。2019 年の EM コミュニティの調査では、回答者の 3 割が管理監督者ではありませんでした。残業代が付くかは、内定前に雇用条件で確かめてください。

IC に戻ると年収は下がりますか?

IC と EM の年収を比べた材料は、手元にありません。社内で戻るなら、戻った人の等級がどうなったかが、年収を見積もる手がかりになります。転職なら、カジュアル面談でこの等級に入るとしたら提示の幅はどれくらいかを、自分の条件で聞くのが確実です。

3 年コードを書いていなくても、IC のバックエンドに戻れますか?

実装から離れた EM が IC の採用でどう見られるかを示す材料はありません。確かめるなら、バックエンドの求人のカジュアル面談で、マネージャーをしていた人が開発職で入った例があるか、入社後の最初の 3 か月でどんな仕事を任せたかを聞くと、相手が何を重視しているかが分かります。この 3 年については、コードレビューに入り続けたことや、技術の判断に関わった例を事実として並べられます。そのうえで、戻りたい理由を何を作りたいかで話せるかが分かれ目になると当サイトは見ています。

EM と IC、両方のカジュアル面談を受けてもいいですか?

受けて構いません。どちらなのかと聞かれたら、迷っていると正直に答えてよいと思います。その会社の EM がどこまで評価や昇格に関われるか、開発職として入るなら選考で何を重視されるかで決めたい、と迷う理由まで言えれば、迷っていること自体はマイナスになりにくいはずです。

評価の権限を持たずに、技術で組織に影響する道はありますか?

テックリードやスタッフエンジニアのような役が、3 年のブランクで狙えるかを示す材料は手元に無く、ここでは言えません。ただ、評価や採用に関われず、不満を伝えるだけの立場になるのが嫌なら、それは IC かどうかより、その会社でエンジニアの声がどこまで届くかの話です。面接では、直近でマネージャーでない人の提案で方針が変わった例を聞くと分かります。

この記事の数字と声について

  • 当サイトの数字は、2026 年 9 月 30 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた、求人名が EM・開発マネージャー・VPoE などの求人を、会社単位で数えました。該当する求人を 1 件以上出している会社の割合で、5% 単位に丸めています。日本の求人全体の数字ではありません。求人票に特定の言葉が書いてあるかで判定した結果で、実態ではありません。書いていないことは、無いことを意味しません。求人が 1 件だけの会社も多いため、書いていない会社の割合は高めに出ます。求人名に「候補」を含む求人も含みます。決裁権や評価権が求人票に書かれているかは数えていません
  • EM から IC に戻れると書いた求人が無い、というのは同じ時点の当サイトの EM・開発マネージャーの求人の範囲の話です。IC に戻った後の年収や評価、ブランクの見られ方については、示せる材料がありません
  • 2019 年の調査は、EM のコミュニティの登録者のうち 100 名の回答で、都市圏のソフトウェアのコミュニティに偏ると調査者自身が書いています。日本の EM 全体の割合ではありません
  • 部下の給与を上げられないつらさ、社内で EM を降りた例は、EM として働いた人の体験記・インタビューから、個人の声として紹介しています
  • 成果を実感しにくいことはソフトウェア部門のマネージャーなどを務めた人の体験記、会社に都合の悪いことの伝え方は会社を辞めたリーダーの立場の人の話(体験記の筆者が友人の話として紹介したもの)から、個人の声として紹介しています
  • 次のことは、当サイトの判断と助言です
    • 枠の理由を先に知らされるか、枠を決める場に EM がいるかで、説明するだけの役になるかが分かれるという見方
    • 枠の理由を先に教えてほしいと頼むこと
    • 面接の答えの受け取り方
    • メンバーに伝えてよい範囲の線の引き方
    • 社内で確かめる順番と、判断の目安の置き方
    • カジュアル面談の使い方と、ブランクの説明の仕方
    • IC でもエンジニアの声が届くかは会社で違う、という見方
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