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回路設計はきつい?社内でノイズを測れない会社の見分け方
回路設計では、試作と評価のやり直し、ノイズのような目に見えない不具合の切り分け、動かせない量産日が、どの会社に移っても付いてきます。きつさを大きくするのは、1 回落ちてから次に測るまでの日数と、その回路が分かる人の数で、これは会社によって違います。求人票ではほぼ読めないので、面接で直近の製品について聞く質問と、今の会社で頼めることをまとめました。
公開 2026年9月30日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月30日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・試作と評価のやり直し、ノイズの切り分け、動かせない量産日は回路設計に付いてくる。きつさを大きくするのは、次に測るまでの日数と、その回路が分かる人の数
- ・社内で測れるかは求人票ではほぼ読めない。面接では設備の有無ではなく、直近の製品で何回やり直し、1 回落ちて次に測るまで何日かかったかを聞く
- ・今の会社に残るなら、大きな設備より、量産試作の前に一度測る日程を組むなど小さく頼み、返事で判断する
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計測機器のメーカーで、電源とアナログの回路を担当している人がいるとします(架空の例です)。新製品の量産試作で、外部の試験所で放射ノイズを測ったら、規格をわずかに超えて不合格になった。試験所の予約は 2 週間先まで埋まっている。フェライトを足し、パターンを引き直し、スイッチング周波数をずらしては試験所に通い、3 回目でやっと通った。その間にファームの変更でマイコンのクロックが変わり、ノイズの出方も変わったので測り直した。量産開始日は営業が客先と約束していて動かせず、最後の 1 か月は毎晩遅くまで残った。これは回路設計だからなのか、この会社だからなのか。
回路設計に付いてくるものと、会社で違うものの両方が混ざっています。試作して評価して直す繰り返し、ノイズのように目に見えない不具合を一つずつ潰す作業、回路設計の都合では動かせない量産日は、回路設計を続ける限りどこでも付いてきます。他部署の変更で作り直すことや、部品の製造中止で代わりの部品を評価し直すことも、どの会社でも起こりえます。
一方で、きつさを大きくするのは、**社内で測れるか(1 回落ちてから次に測るまで何日か)**と、その回路が分かる人が何人いるかで、ここは会社によって違います。上の例では、試験所の 2 週間待ちと、相談できる人がいないことが重なって、負担が大きくなっていました。
試作のやり直しとノイズの切り分けは、どの会社でも残る
| きつさ | 場面 | 移っても残るか | 会社で違うところ |
|---|---|---|---|
| 試作して、評価して、直して、また試作 | 評価で問題が出たら回路図に戻り、基板を作り直してまた評価する。1 回では終わらない | 残る | やり直しの回数。設備と人数で変わる |
| 原因が目に見えない不具合を追う | ノイズ、部品のばらつき、温度の影響で、動いたり動かなかったりする。怪しいところを消去法で絞る | 残る(解説記事がそろって挙げる) | EMC 対策の重さ。海外向けなど製品で変わる |
| 量産日を回路設計の都合では動かせない | 量産試作や認証試験の直前に問題が見つかり、そこに作業が集まる | 残る | 量産前の忙しさが、製品ごとに途切れず続くか |
| 他部署の変更で作り直す | ファームの仕様変更でクロックが変わる、筐体や配置が変わる | 残る | 調整の量 |
| 部品の製造中止で代替品を評価する | 新規の設計と並行して、既存製品の代替品の評価も頼まれる | 起きること自体は残る(挙げる解説記事もある) | 誰にどれだけ回ってくるか |
| 社内で測れず、外部の試験所の予約を待つ | 対策を一つ足すたびに、次に測れるまで評価が何週間も止まる | 会社による | 社内の設備 |
| その回路が分かる人が少ない | 原因の分からない不具合を一人で抱える | 会社による | 担当の人数 |
原因の見えない不具合は、「回路設計 きつい」で検索して上位に出る解説記事がそろって挙げるきつさです。部品の製造中止による代替品の評価を挙げる解説記事もあります。
厚生労働省の job tag も、電子機器の技術者の仕事を、産業用のインバータを例に説明しています。試作品を評価し「そこで把握された不備や障害を分析の上、解決し、製品の量産を行う。」こと、そして「ハードウェアの技術者とソフトウェアの技術者がそれぞれに技術開発を進めつつ連携して一つの製品に仕上げていく。」ことです(job tag「電子機器技術者 - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)。試作の評価と直し、ソフトの技術者との連携は、job tag の説明でも仕事の流れに入っています。
きつさを決めるのは、次に測るまでの日数と、その回路が分かる人の数
会社を選ぶ時に見たいのは、ノイズで落ちるかどうかより、落ちたあと次の対策をどれだけ早く試せるかです。同じ 3 回のやり直しでも、1 回ごとに 2 週間待つのと、対策を足したその日のうちに測り直せるのとでは、量産日までに使える時間がまったく違います。社内で放射ノイズを測れる会社なら、原因の候補を一つずつ試す回数そのものを増やせます。量産試作の前に一度測っておけるかも、設備と日程の組み方で決まります。
人の数でも、かかる日数は変わります。回路設計のきつさを解説した人材紹介会社の記事は、「評価設備が整っているか、設計者が複数いるか、納期に無理がないかで、負荷は大きく変わります。」と書き、設備の不足と少人数を、仕事そのものではなく職場の条件として挙げています。原因の見えない不具合ほど、別の目で回路を見てくれる人がいるかどうかで、解決までの日数が変わります。
気をつけたいのは、回路設計の担当が多くても、電源やアナログが分かるのは 1 人、ということがあり得る点です。課の人数より、自分の担当する回路が分かる人が何人いるかを見てください。
電源とアナログしかできない経験は、移る時に弱みになる?
当サイトは、弱みにはなりにくいと考えます。回路設計は実務経験で評価される職種で、電源とアナログを何年も担当し、EMC の対策まで自分で回してきた経験は、同じ種類の回路を扱う会社ではそのまま評価の材料になります。
ただ、担当の幅が狭いことで探しにくくなる面もあります。担当が細かく分かれた職場で一つの分野が中心だった人が、転職活動で自分の担当をそのまま活かせる仕事を見つけられなかった、という声があります。その人は、求人の側が「5年程度のインバータ回路開発経験」のように経験を狭く指定する、とも書いています。
当サイトの掲載求人では、EMC・ノイズや規格への対応を仕事の説明に書く会社が約 2 割あります。どの会社にも移れるとまでは言えませんが、同じ回路設計のまま、設備や人数の違う会社に移る道はあります。職務経歴書に書けるのは回路設計だけだったので、別のメーカーの回路設計に移った、という声もあります。
社内で測れるかは、求人票ではほぼ読めない
当サイトの掲載求人(2026 年 9 月 30 日時点、回路設計・実装設計、会社単位)で見ると、こうなります。
- 社内に持っている評価設備を書く会社は 5% 未満。 測定器が出てくるのは、ほとんどが応募条件(使った経験があるか)としてです。社内で測れるかは、求人票からはほぼ分かりません
- チームや部署の人数を書く会社は 3 割強。 ただ、分かるのは「現在2名体制」「アナログ系の回路設計1名」のような少人数の会社を、応募先の候補から外せることくらいです。自分の回路が分かる人が何人かまでは読めません
- EMC・ノイズか規格への対応を仕事として書く会社は約 2 割。 経験者を募集しているとも、入社後に一人で担当させるとも読めます。どちらなのか、何人で担当するのかは書いていないので、面接で確かめます
- 残業の時間を書く会社は半分弱。 そのうち 3 分の 2 ほどの会社は、出しているすべての求人で月 20 時間以下と書いていました。ただし会社が書いた平均や想定の数字で、量産前の忙しい時期の残業まで書く会社はほとんどありません
社内で測れるかと、量産前の忙しい時期の残業は、面接で聞くしかありません。
社内で測れない会社は、直近の製品で何が起きたかを聞けば分かる
電波暗室があるかを聞くだけでは足りません。あると返ってきても、別の部署の設備で予約が何週間も先なら、今と変わらないからです。設備の有無ではなく、直近の製品で実際に何が起きたかを聞きます。聞くことを大事な順に 4 つ挙げます。
1. 直近に量産に入った製品で、量産までに放射ノイズの試験を何回やり直したか。1 回落ちてから次に測るまで、何日かかったか
今の会社の 1 回ごとに 2 週間と、そのまま比べられます。対策して翌日に測れた、のように具体的に返ってくるなら、社内で対策と測定を続けて回せる環境があります。ケースバイケースという答えで終わったら、その製品の場合はどうだったかを聞き直してください。
2. その試験は社内で測ったか、外部の試験所か。社内なら、設計者が自分で測るか
3. その製品の電源(またはアナログ)の回路は何人で担当しているか。自分が入ったら、誰と分担するか
4. 量産前の最後の 1 か月、回路の担当は何人で、残業はどれくらいだったか
当サイトの掲載求人では、書かれた残業の多くは会社が書いた平均や想定の数字で、量産前の忙しい時期まで書く会社はほとんどありません。その時期の残業は、聞かないと分かりません。
今の会社に残るなら、設備より先に試験の日程を頼む
辞める前に、今の会社で変えられるかを試す道もあります。ただ、暗室を入れてほしいという頼みは大きな投資なので通りにくいはずです。それより、今回の数字を添えて、すぐにできることを頼むほうが話が進みます。
伝える数字は、何回落ちたか、1 回ごとに何日待ったか、他部署の変更で何回測り直したか、最後の 1 か月の残業です。そのうえで、たとえば次のことを頼みます。
- 量産試作の前に一度測る日程を、最初から組んでおく
- ファームや筐体の変更は、回路の担当に先に知らせてもらう
- 部品の代替評価は、新規の設計と担当を分ける
言うのは、次の製品の日程と人の割り振りが固まる前です。決まった後だと、もう決まっているからと流されやすくなります。判断の目安は上司の返事です。次の製品の日程に入れようという返事なら、次の製品で日程の組み方が変わる見込みがあります。間に合ったのだからいい、で終わるなら、会社の側から変える気は薄いと考えてよいでしょう。
その場合も、探し始めるのはすぐ、辞めるのは次が決まってからで十分です。求人を見るのも、面接で直近の製品について聞くのも、今の会社にいながらできます。待っているうちに次の製品の開発が始まれば、また量産前の忙しい時期が来ます。
年収は、残業代を抜いて比べる
回路設計で会社を移った時の年収の相場は、この記事では示せません。当サイトでも回路設計の求人の年収は集計していないので、上がるか下がるかは言えません。
今の年収から残業代を抜いた額と、応募先の基本給と賞与の合計を並べて比べてください。残業の多い年と少ない年で年収に差があるなら、その差額が残業代で動いている分です。そのうえで、応募先の平常月の残業代を足します。求人票の年収の幅のうち自分がどこに入るかは、面接で、近い経験年数の人が入社した時の提示額がどのあたりだったかを聞くと見当が付きます。
よくある質問
回路設計以外で、電源やアナログの経験が活きる道はありますか?
部品メーカーの技術営業や試験所の側など、ほかの職種へ移る道と、その時の年収や評価は、この記事では示せません。この記事で扱っているのは、同じ回路設計のまま設備と人数の違う会社に移る道と、今の会社で日程の組み方を変えてもらう道です。
評価ばかりで、設計を任されません。会社を変えれば変わりますか?
変わる可能性があります。設計まで任されるかは、配属と案件と教育で決まるからです。ただし、設計補助・評価補助の担当を求人票で明示する会社は、当サイトの掲載求人では 5% 未満で、求人票からはほぼ読めません。面接で、入社直後と 1〜2 年後に何を担当するかを聞いてください。
在宅で働ける回路設計の求人はありますか?
当サイトの掲載求人の回路設計で、フルリモートと書く会社はありませんでした。基板を測定器で確かめながら進める仕事なので、通える範囲にある会社が、そのまま選べる会社になります。
この記事の数字と、見立て・助言について
- 当サイトの数字は、2026 年 9 月 30 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた回路設計・実装設計の求人のうち、題名が電子回路・基板・ハードウェアの設計の求人を対象にしています。その区分に当たる求人を 1 件以上出している会社の割合で、丸めています。求人票に書いてあるかで判定しているので、書いていないことは無いことを意味しません。日本の求人全体の数字でもありません
- 残業の割合は、残業の時間を書く会社の中での割合です。15〜30 時間のように幅で書く求人は、上と下のどちらの数字で数えるかで割合が少し変わります。会社が書いた平均・想定の数字で、実際の残業ではありません
- 社内で測れれば試せる対策の数を増やせること、暗室があると言われても予約が先のことがあること、原因の見えない不具合ほど別の目で回路を見てくれる人がいるかで解決までの日数が変わること、電源とアナログの経験が移る時の材料になることは、当サイトの見立てです
- 面接での聞き方、上司への頼み方と頼む時期、返事での判断、探し始める時期、年収の比べ方は、当サイトの助言です。会社や相手によって受け取られ方は変わります
- 狭い経験の指定で自分の担当を活かせる仕事が見つからなかった話と、同じ回路設計に移った話は、働いている人が書いた体験を個人の声として紹介しています