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M&A仲介を辞めたい?案件が直前で流れるのはどこの会社でも同じか

成約で見られること、案件が最終契約の手前で流れうること、成約しても次を一から仕込み直すことは、仲介という仕事の形から来るので、別の仲介会社に移っても起こりえます。会社で変わるのは、売り手と買い手の持ち方、社長と会うきっかけを会社が作るか、固定給の比率、流れた後の評価です。事業会社のM&A担当に移ると何が変わるか、続けるかを自分の数字で見る方法、面接で聞くことまでまとめました。

公開 2026年9月30日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月30日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること

  • ・成約で見られる、案件が手前で流れうる、毎回一から仕込み直す、は仕事の形から来るので、別の仲介会社に移っても起こりうる
  • ・会社で変わるのは、売り手と買い手を分けて担当するか、社長と会うきっかけを会社が作るか、固定給の比率、流れた後の評価
  • ・続けるかは成約の有無より、受託件数と社長に会える数が1年前より増えているかを、同じ会社の先輩の同じ年次と比べて見る
目次開く
  1. 01成約での評価、案件の破談、仕込み直しは、どの仲介会社でも起こりうる
  2. 02会社で変わるのは、担当の分け方、開拓の仕組み、固定給の比率
  3. 03事業会社の M&A 担当に移ると、成約後の統合や社内調整も仕事になる
  4. 04仲介を続けるかは、何で判断すればいい?
  5. 05辞める前に、今の会社で頼めることがある
  6. 06数字が出ない時と流れた後の扱いは、直近の出来事を聞けば分かる
  7. 07よくある質問
  8. 08この記事の数字と声について

中小企業の事業承継を扱う M&A 仲介会社で、アドバイザー 3 年目の人がいるとします(架空の例です)。1 年かけて育てた案件が、デューデリジェンス(DD)で簿外の未払いが見つかり、最終契約の 2 週間前に買い手が降りた。今期の見込みはその 1 件だけだったので、朝会で読み上げる成約見込みの欄は空になり、上司には来期の仕込みを聞かれただけ。辞めたい。でも、これは今の会社がきついのか、仲介という仕事そのものがこうなのかが分からない。

成約件数で評価されること、何か月もかけた案件が最終契約の手前で流れうること、成約しても次の案件を一から仕込み直すことは、案件が 1 件ごとに完結し、M&A の成立を目指す仲介の仕事の形から来ます。別の仲介会社に移っても起こりえます。 会社で違うのは、それを担当者がどこまで背負うかです。売り手と買い手を 1 人で担当するか分けるか、売り手の社長と会うきっかけを会社が作るか、固定給とインセンティブの配分、そして流れた後にどう評価されるか。

事業会社の M&A 担当に移ると、仲介手数料で売上を立てる立場からは離れますが、少人数で成約の後の統合(PMI)や社内の調整が仕事に入り、案件がどれだけ動くかは会社次第です。

年収の目安は、仲介に残る場合も、別の仲介や事業会社に移る場合も、示せる資料が手元に無く、この記事では示せません。

成約での評価、案件の破談、仕込み直しは、どの仲介会社でも起こりうる

中小企業庁のガイドラインは、仲介者を、売り手と買い手の双方と契約して、双方の共通の目的である M&A の成立を目指す立場と整理しています。手数料は着手金・中間金・成功報酬などの組み合わせで、成功報酬は主にクロージングの時に受け取り、成功報酬だけの完全成功報酬型もあります(「中小M&Aガイドライン(第3版)」、2026 年 9 月 30 日取得)。売上の中心が成約時の成功報酬なので、成約件数で評価されることも、成約の有無で年収がぶれることも、ここから来ています。

仲介で働く人が挙げるきつさを、会社を変えても残るかどうかで分けると、次のようになります。

きつさ場面会社を変えたら
成約で評価される受託や成約の数字が出ないと社内で居づらい残る。数字が出ない時の扱いの厳しさは会社で変わる
案件が手前で流れる何か月もかけた案件が最終契約の直前で破談になる起こりうる。流れた後の評価は会社で変わる
一から仕込み直す成約しても、次の案件をまた一から仕込む残る
売り手の社長に会うまで電話は社長本人にまずつながらない会って依頼を受けるまでは残る。会うきっかけを誰が作るかは会社で変わる
売り手と買い手を 1 人で持つ担当する案件が増えるほど労働時間が長くなり、土日の面談も入る会社で変わる
年収がぶれる成約した年としない年で年収が大きく違う残る。固定給の比率が高い会社ならやわらぐ

案件が手前で流れることについては、大手仲介で管理職をしていた人が、人材紹介会社のコラムで「私が現場で本当にきついと感じたのは別のところでした」と書き、案件のブレイクを挙げています。その年の見込みが 1 件しかない時に流れると翌年まで立て直せない人がいる、とも書き、「この仕事を続けられるかの分かれ目」と呼んでいます。どれくらいの頻度で流れるかを示す資料は手元に無く、ここでは言えません。言えるのは、M&A の成立を目指す仕事で、成立の前に買い手や売り手が降りることはあるので、どの仲介会社でも起こりうる、というところまでです。売上の中心が成約時の成功報酬なので、流れた時の痛手も大きくなります。

一から仕込み直すことについては、大手仲介の元社員が監修した人材紹介会社の記事が書いています。案件は 1 件ごとに完結するので、成約しても次をまた一から仕込む必要がある。慣れや疲れから、それに抵抗感が出てくる人がいて、業界経験 5 年前後の人から聞くケースだ、という内容です。

売り手の社長に会うまでのきつさも、仲介の仕事の最初の段階として残ります。M&A 業界に長くいるという人の note には「電話は、、、きついですよね笑 まず社長につながりませんから。」とあります。2024 年の第 3 版のガイドラインで、営業を受けたくないと示されたらただちにやめる、即時の判断を迫らない、などの規律も明記されました。

案件が流れたのは、自分の詰めが甘かったから?

そうとは限りません。DD で売り手側の未払いが出て買い手が降りたなら、きっかけは売り手側の事実です。振り返るなら、DD より前の段階でそれを聞く機会があったか、の 1 点で足ります。たとえば税金や社会保険の遅れだけを聞いていたなら、次からは、辞めた人も含めて給与や残業代のことで言われたことや揉めたことはないか、と具体的な出来事で聞くと、引っかかりやすくなると思います。そこまで聞いても出てこないものはあるので、流れたこと自体を自分の落ち度と考えなくていいはずです。

会社で変わるのは、担当の分け方、開拓の仕組み、固定給の比率

同じ仲介でも、次の点は会社によって違います。

売り手と買い手を誰が担当するか。 当サイトの掲載求人では、M&A 仲介・アドバイザーの求人を出す会社のうち、売り手と買い手を分けて持つ書き方の会社が約 20%、1 人で通す書き方の会社が約 40%、どちらの書き方もしていない会社が約 50% でした。先ほどのコラムの筆者も、分かれ目の 1 つ目に 1 人で持つか分けるかを挙げ、1 人で持つと交渉の全体を持てる代わりに時間が長くなりやすく、分けると負荷が集中しにくい、と書いています。

社長と会うきっかけを誰が作るか。 新規開拓の電話を外に任せる会社もあります。ガイドラインも業務の外部委託の例に「マッチング支援のための架電を営業専門会社に依頼」を挙げています。当サイトの掲載求人では、開拓の段取りを会社が用意する書き方だけの会社は約 15%、自分で開拓するのか会社が用意するのかをどの求人にも書いていない会社が約 55% でした。段取りを会社が用意しても、社長に会って仲介の依頼を受けるまでは担当者の仕事です。

固定給とインセンティブの配分。 料率の高さと稼ぎやすさは必ず比例するとは限らず、料率を抑えた分を固定給やマーケティングの費用に回す会社がある、と書く転職情報の記事もあります。当サイトの掲載求人では、インセンティブの語をどの求人にも書いていない会社が約 35% でした。語があるかどうかは、固定給とインセンティブの配分を示すものではありません。

数字が出ない時と、流れた後の扱い。 ここは求人票では読めません。後の節の質問で確かめます。

売り手と買い手を分けて担当しても、減るのは担当する案件の負担と労働時間です。 社長に会うまでの電話や DM が一番つらいなら、見るべきは担当の分け方より、会うきっかけを会社が作ってくれるかです。1 年担当した案件が流れて今期の成約がゼロになるつらさは、担当を分けても消えません。軽くできるのは、固定給の比率と、流れた後の評価の仕方です。

事業会社の M&A 担当に移ると、成約後の統合や社内調整も仕事になる

厚生労働省の job tag は、事業会社の M&A マネージャーについて、一部の大企業を除き専任者は少なく「数人(3~4名程度)の企業が多い」と書いています。また、仲介会社の M&A アドバイザーも含めたこの職業全体について、M&A の進み具合で「繁閑の差が大きく残業が増える場合もある」とも書いています(job tag「M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー」、2026 年 10 月 9 日確認)。

当サイトの掲載求人では、事業会社の M&A 担当の求人を出す会社の約 80% が PMI や統合の語を書いています。一方で、自社の M&A 実績を件数で書く会社は約 5% で、年に何件動くか、案件が無い時期に何をするかは求人票ではほぼ読めません(書いていないだけで、案件が動いていないとは限りません)。

仲介のように手数料で売上を立てる立場ではなくなりますが、案件が佳境の時期は、事業会社でも楽ではありません。

仲介を続けるかは、何で判断すればいい?

job tag は、事前の検討から交渉・実行まで 1 人で回せる一人前になるまで「5~8年かかるといわれている」と書いています。3 年目はまだその途中です。一方で、先ほどの記事のように、5 年前後でも仕込み直しへの抵抗感が出る人がいるので、続ければ楽になるとも限りません。

判断には、成約が出たかどうかより、受託件数と、社長に会えた数が 1 年前より増えているかを見るのがよいと思います。3 年目なら何件が目安という業界全体の数字は手元に無いので、比べる相手は、同じ会社で成約を出している先輩が 3 年目だった時の数字にします。先輩と同じくらいなら続ける根拠になり、大きく離れていれば、会うきっかけ作りの支援や担当の分担を頼む材料になります。

辞める前に、今の会社で頼めることがある

転職だけが道ではありません。社長に会えた数が増えていないなら、社長と会うきっかけ作りを会社に手伝ってもらえるかを、辞める前に一度上司に聞く価値があります。上司から来期の仕込みを聞かれた時に、その相談として話すと、辞める話には聞こえにくいと思います。社長に会えている数が月に何人で、1 年前と変わっていないことを数字で伝え、会社で使えるリストや紹介元、アポ取りの支援があれば使わせてほしいと頼む形です。担当を分けてほしいという相談は、この返事を聞いてからでも遅くありません。

それと並行して、事業会社の M&A 担当と、別の仲介会社の求人も見ておくと、1 か月ほどで、残って頼む・別の仲介に移る・事業会社を受ける、のどれを先に試すかが決められます。事業会社の求人は、必須条件より仕事内容と歓迎条件の欄で、PMI の経験を求めているか、案件探しや交渉の経験を求めているかを見ます。仲介の求人は、担当の分け方、開拓の段取り、報酬の書き方を見ます。1 件に書いていなくても、同じ会社の別の募集に書いてあることがあります。家族がいるなら、土日の面談に月何回までなら出られるかを家族と先に決めておくと、面接で聞いた土日の回数をその数で判断できます。

数字が出ない時と流れた後の扱いは、直近の出来事を聞けば分かる

数字が出ない時の扱いと流れた後の評価は、求人票ではまず読めません。方針を聞くと理想が返ってくるので、直近にあったことを聞きます。大事な順に 3 つです。

  • 直近 1 年で成約がゼロだった人は何人いましたか。その人の翌期の固定給、賞与、担当案件はどうなりましたか
  • 最終契約の前に流れた案件の担当者は、その期どう評価されましたか。それまでの工数は何かに数えられましたか
  • 直近 1 か月で、土日に面談やオーナーの家族への説明が入ったのは何回でしたか。代休は取れましたか

成約ゼロの人数や翌期の扱いが具体的に返ってこない会社は、評価の決まりがはっきりしていない可能性があります。

事業会社なら、去年 M&A の担当者が何件の検討に関わり何件が実行まで行ったか、案件が無かった月は何をしていたか、を聞きます。

よくある質問

流れた案件は、職務経歴書でマイナスに見えませんか?

隠さず書いてよいと思います。マイナスに見えやすいのは、不成立だった事実だけで終わる書き方です。どの案件を担当し、どこまで進め、何が原因で流れ、その後の案件で何を変えたかまで書けば、経緯の説明として読んでもらえます。開拓から DD まで 1 人で進めた案件の中身は、成約件数とは別の材料になります。

仲介 3 年・成約 1 件は、事業会社から見て不利ですか?

仲介での 3 年をどう評価するかは応募先によります。先のコラムの筆者は、仲介からの行き先は同業の仲介、PE ファンドのソーシング、事業会社の経営企画におおむね決まっている、と書いています。応募先が求めているのが PMI の経験か、案件探しや交渉の経験かは、必須条件の年数より仕事内容と歓迎条件の欄に出ます。

PE ファンドのソーシングに移れば、電話や DM から離れられますか?

応募先で、直近 1 か月にソーシングの担当者が何社に連絡し、手段は電話・手紙・紹介のどれが多く、何社の経営者に会えたかを聞くと、今と同じように電話や DM で社長を探す仕事かが分かります。

M&A 仲介に向いている人は?

案件が流れても次を一から仕込み直すことを引き受けられ、売り手の社長に会えるまで電話や DM を続けられる人です。つらいのが 1 人で両側を持つ量や、固定給の薄さなら、向き不向きより会社の選び方の問題です。

この記事の数字と声について

  • 当サイトの数字は、2026 年 9 月 30 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた求人のうち、M&A 仲介・アドバイザーの求人と、事業会社の M&A 担当の求人を、それぞれ会社単位で数えた割合です。「書いている」は当たる求人を 1 件以上出す会社、「書いていない」はどの求人にも書いていない会社で、5% 単位に丸めました。求人票の書き方で、職場の実態ではありません。日本の求人全体の数字でもありません。売り手と買い手の担当の分け方、開拓の段取り、インセンティブの語は項目ごとの割合で、3 つとも書いていない会社の割合は数えていません
  • 案件が手前で流れること、仕込み直しへの抵抗感、仲介からの行き先は、M&A 業界に特化した人材紹介会社の記事 2 本(筆者・監修者は大手仲介の元社員)をもとにしています。料率と固定給の配分は別の転職情報の記事、社長に電話がつながらないことは業界にいる人の note によります
  • job tag は仲介会社の M&A アドバイザーと事業会社の M&A マネージャーを 1 つの職業として書いています
  • 案件が流れる理由(成立の前に買い手や売り手が降りることがある)と流れた時の痛手の説明、流れた案件の振り返り方と聞き方、続けるかの見分け方(受託件数と社長に会えた数を先輩の同じ年次と比べる)、上司への頼み方、1 か月の進め方と家族と決めておくこと、面接での質問の順番、職務経歴書での書き方、事業会社に移った時の変化のまとめ、向いている人は、当サイトの見立てと助言です
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