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Web広告運用が辛い?インハウスに移れば楽になるのか
Web広告運用の辛さのうち、CPA が動いた原因をすぐには突き止められないことと、預かった広告費を動かす重さは、代理店でもインハウスでも運用を続ける限り付いてきます。担当社数、月初にレポート作りが集中すること、営業が約束した目標は会社によって違います。インハウスに移っても CPA などの数字を見て運用する仕事であることは変わらず、目標を誰が決めるかは会社によります。自分が何に辛いのかの見分け方、面接で聞くこと、固定残業込みの年収の比べ方までまとめました。
公開 2026年9月29日 · 更新 2026年10月9日 · 集計 2026年9月29日 · PREVIO 編集部

この記事で分かること
- ・CPA が動いた原因をすぐには突き止められないことと、預かった広告費を動かす重さは、代理店でもインハウスでも運用を続ける限り付いてくる
- ・担当社数、月初にレポート作りが集中すること、営業が約束した目標は会社によって違う。インハウスでも数字を見て運用する仕事であることは変わらない。目標を誰が決めるかは会社によるので、インハウスかどうかより、そこを確かめる
- ・担当社数や目標の決め方は求人票にほぼ書かれないので、面接で直近の出来事として聞く
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ネット広告代理店で運用を担当している人がいるとします(架空の例です)。9 社を担当していて、広告費がいちばん大きい担当先で、CPA が 2 か月続けて目標を上回りました。目標は、契約を取る時に営業が先方に約束した数字です。原因が媒体の仕様変更なのか、競合なのか、LP なのかは、はっきりしません。定例で先方から、代理店を替える話も出ていると言われた週に、ほかの 8 社の月次レポート作りが重なり、毎晩遅くまで資料を作りました。翌週には別の担当先の日予算を 1 桁打ち間違え、先方から指摘されて気づきました。インハウスに移った同期は「楽になった」と言っています。この辛さは広告運用という仕事に付いてくるものなのか、代理店だから辛いのか。
この中には、広告を運用する限りどこでも付いてくるものと、勤める会社によって違うものが混ざっています。 CPA が悪化した原因をすぐには突き止められないこと、預かった広告費を動かすので、日予算の打ち間違いのような小さなミスが先方の大きな損になることは、代理店でもインハウスでも付いてきます。一方で、9 社を同時に持つこと、月初に 9 社分のレポート作りが同じ週に重なること、営業が約束した目標で詰められることは、会社によって違います。
インハウスに移っても、CPA などの数字を見て運用する仕事であることは変わりません。代理店を替えると言われる心配はなくなりますが、成果の悪化は自社の売上の問題になります。目標を誰が決めるかは会社によるので、インハウスかどうかより、そこを確かめることが大事です。同期の「楽になった」は、担当先が減り、月初のレポート作りや、営業が約束した目標に追われなくなった、という話かもしれません。
どこでも付いてくる辛さと、会社によって違う辛さ
広告運用でよく挙がる辛さを、場面ごとに並べるとこうなります。
| 辛さ | 場面 | 会社を変えたら |
|---|---|---|
| 数字が動いた理由がすぐ分からない | 朝に管理画面を開くと前日の CPA が悪化している。媒体の変更か、競合か、LP か、季節か、すぐには切り分けられない | 残る。誰がどの指標を見るかは会社で違う |
| 預かった広告費を動かす | 日予算・入札・配信先の設定を 1 か所間違えると、気づくまで予算が使われ続ける | 残る。ミスを誰が二重に確認するか、予算の規模は会社で違う |
| 地味な作業と仕様変更 | 入札調整、入稿、集計、管理画面や計測の仕様が変わるたびの覚え直し | 残る。どこまで自分でやるかは分業の仕方で違う |
| 施策に調整と承認が要る | 施策 1 つ動かすのに、関係者と調整して承認を取る | 関係者との調整・承認は付いてくる。段数や速さは会社で違う |
| 担当社数 | 1 社の数字が崩れると、ほかの担当先に手が回らない | 会社で違う |
| 月初のレポート作り | 全担当先の月次レポートと定例資料の作成が同じ週に集中する | 量と頻度は担当先と担当社数で違う |
| 自分が約束していない目標 | 契約を取る時に営業が約束した期待値が、運用の目標になる | 主に他社の広告を運用する時に付いてくる。インハウスでも目標はある |
| 夜間・休日の配信トラブル | 夜や休日に配信が止まる、予算を使いすぎる | 誰が対応するかは会社で違う |
上の 3 つは、広告を運用する限りどこへ行っても付いてきます。4 つ目の調整・承認も付いてきますが、重さは会社で違います。厚生労働省の job tag は、この仕事の特徴として「結果が数値で迅速に出てくる」ことを挙げ、配信登録、配信データの集計・分析、効果検証のレポート作成を仕事に含め、「技術の変化の激しい仕事」と書いています(「Webマーケティング(ネット広告・販売促進) - 職業詳細」、2026 年 10 月 9 日確認)。job tag は、結果がすぐ数字で出ることを、効果をすぐ確かめて改善できる良い点として挙げています。ただ、結果はすぐ出ても、なぜそう動いたのかまでがすぐ分かるとは限りません。
広告費を預かる重さについては、新卒で代理店に入って 12 年広告運用を続けた人が「ミスしないことが当たり前で、一つの小さなミスでも致命的な損失を被ることもある」と書いています。
冒頭の例でいえば、CPA が悪化した原因を突き止められないのは、どこで運用しても起こることです。それが一番大きい担当先で起きた週に、ほかの 8 社のレポート作りが重なったこと、目標が自分で約束した数字ではなかったことは、会社によって違う部分です。
辛いのは運用そのもの?それとも担当社数や目標の決め方?
どこでも付いてくる辛さに耐えられるか、と考えても、答えは出にくいと思います。先月いちばん辛かった出来事を思い出して、次の 4 つを考えてみてください。
- もし先方が何も言わなかったら、それでも眠れないほど気になったか。 気になったなら、辛いのは数字が動いた理由が分からないことそのものです
- 担当がその 1 社だけだったら、あの週も遅くまで残っていたか。 残っていなかったなら、辛いのは担当社数と作業の多さです
- 目標を自分で決めていたら、同じ数字でも受け止め方は違ったか。 違ったなら、辛いのは人が約束した目標で詰められることです
- 打ち間違いは、時間に余裕のある週でも起きたと思うか。 起きなかったと思うなら、ミスの原因は忙しさのほうにあります
1 つ目に当てはまる辛さは、どこへ移っても付いてきます。2 つ目と 3 つ目に当てはまるなら、運用を辞めなくても、会社を選べば軽くできます。
冒頭の例の人なら、こう答えるかもしれません。先方が何も言わなければ気にはなるが、眠れないほどではない。原因を探すのはむしろ好き。1 社だけなら早く帰っていた。目標を自分で決めていたら、自分の予想が外れたと受け止めて終わっていた。それなら、辛さの元は運用そのものより、担当社数の多さと、人が約束した目標のほうにあります。
インハウスに移ると、何が軽くなって何が残る?
軽くなりうるのは、担当先の数と、顧客向けの月次報告や定例です。当サイトの掲載求人では、仕事内容にレポート作成を挙げている会社は、他社の広告を運用する会社で 66%、自社の広告を運用する会社で約 3 割でした。顧客への報告や定例を挙げている会社は、他社の広告を運用する会社で 43% です。
ただ、報告がなくなるわけではありません。自社の広告を運用する会社の約 3 割は、経営陣や社内への報告、代理店とのやり取りを仕事内容に挙げています。代理店から事業会社に移った人も「たとえ少額の予算変更でも上司の承認が必要です」と書いています。インハウスでは、報告や調整の相手がクライアントから社内に移ることがあります。
CPA などの数字を見て運用する仕事であることも変わりません。次の数字は、求人に CPA や ROAS といった指標の名前が出てくるかどうかの割合で、責任の重さや仕事量を比べたものではありません。指標の名前が出てくる会社は、自社の広告を運用する会社で 40%、他社の広告を運用する会社で 11% でした。インハウスの求人にも、CPA や ROAS を見て運用する仕事として書かれたものがある、ということです。
代理店を替えると言われる心配はなくなる代わりに、成果の悪化は自社の売上の問題になります。インハウスで CPA が悪化した時に、誰に、どんな場で何を問われるのかは、この記事では具体的な場面を示せません。目標も、インハウスなら自分で決められるとは限りません。営業や経営が売上の目標から逆算して CPA を決めてくる会社もあると考えておいたほうが安全です。移る前に確かめたいのは、インハウスかどうかより、目標を誰がどう決めているかです。
インハウス以外に道はある?
担当社数と目標の決め方が辛さの元なら、道はインハウスだけではありません。
担当社数の少ない代理店に移る。 今の仕事を、1 社あたりに使える時間を増やした形で続けることになります。
インハウスに移る。 担当は自社の商品やサービスだけになる代わりに、社内の調整が増えることがあります。代理店でもインハウスでも、アカウントを回してきた経験はそのまま使えます。
今の会社で相談する。 担当を減らしてほしいと頼むより、起きた出来事を材料に、ミスを防ぐ仕組みを相談するほうが通りやすいと考えます。たとえば、月初に 9 社分のレポート作りが重なった週に日予算の打ち間違いが起き、先方から指摘されるまで気づけなかった、という事実だけを伝えます。そのうえで、設定を変えた時の二重確認か、月初のレポートの一部をアシスタントに回せないかを聞きます。相談しても何も変わらなければ、転職を考える理由が 1 つはっきりします。
転職サイトへの登録は、相談の結果を待たずにしてかまいません。求人を眺めることと応募することは別です。今の会社と外の求人を同じ物差しで見比べられるので、相談の結果を受け止める時の材料にもなります。
担当社数や目標の決め方は、求人票で分かる?
ほとんど分かりません。当サイトの掲載求人で、担当社数を数字で載せている会社は 5% 未満でした。夜間・休日の配信トラブルへの対応を仕事として載せている求人は見つかりませんでした。目標を誰が決めるかも、求人票から読み取るのは難しいと当サイトは見ています。
求人票から読めるのは、運用するのが自社の広告か他社の広告かで、これは本文からほぼ判断できます。あわせて、顧客への報告や定例、レポート作成が仕事内容にあるかを見ると、月初にどれだけ作業が集中しそうか見当が付きます。顧客との折衝はアカウントプランナーが担う、のように分業を書いている求人もあります。
残りは面接で聞きます。会社の方針を聞くより、直近の出来事を聞いたほうが、実際の働き方が分かりやすいと考えます。大事な順に 4 つです。
- このポジションの人は、いま何社を担当しているか。先月の月初の 1 週間は、何時ごろまで働いていたか。 担当社数と、月初の残業の様子が分かります
- 最近始まった案件では、CPA の目標を誰がどう決めたか。その場に運用担当は入っていたか。 インハウスなら、今期の CPA や予算をどういう会議で誰が決めたか、運用担当の見立てがどの段階で入ったかを聞きます
- 目標に届かなかった案件で、最近どんなやり取りがあったか。 目標に届かない時にどう扱われるかが分かります
- 先月、夜間や休日に配信が止まったり予算を使いすぎたりした時、誰が対応したか。
固定残業込みの年収は、3 つに分けて比べる
Web 広告運用の年収の水準は、この記事では示せません。ここでは、求人との比べ方を書きます。
年収の総額ではなく、基本給、固定残業代とその時間数、時間を超えた分の残業代に分けて並べてください。固定残業代は、実際の残業がその時間に届かなくても払われるのが一般的な仕組みです。たとえば今の給与が 30 時間分の固定残業代込みで、月初に 30 時間を超えた分の残業代が別に付いているとします。この場合、残業が減って減るのは、30 時間を超えた分の残業代です。応募先が同じ額面で 45 時間分込みなら、実質は下がります。
当サイトの掲載求人では、固定残業やみなし残業の時間を載せている会社は約 35%、月の平均残業時間を載せている会社は約 15% でした。実際の残業時間の見当は、面接の 1 つ目の質問で付けられます。
よくある質問
広告運用しか身につけていないのは不利ですか?
運用そのものが嫌いでないなら、その経験を手放す必要はありません。代理店でもインハウスでも、アカウントを回してきた経験はそのまま使えます。
担当先と揉めている最中に転職活動を始めるのは逃げですか?
そうとは限りません。転職活動を始めることと、目の前の担当先の件に最後まで向き合うことは両立できます。
面接で辞める理由はどう話せばいいですか?
何が辛かったのかを自分で整理できていれば、それをそのまま話せば十分です。たとえば、原因を探す仕事は好きで続けたいが、担当社数が多く 1 社にかけられる時間が限られていること、目標の決め方に運用の立場から関われないこと、という趣旨です。担当先の名前や揉めている件は、言う必要はありません。
Web 広告運用は離職率が高いのですか?
Web 広告運用という職業の離職率を示す公的統計は見当たりません。公的に出ているのは産業別の離職率で、職業として辞めやすいかは言えません。
この記事の数字と声について
- 当サイトの数字は、2026 年 9 月 29 日時点で当サイト PREVIO に掲載していた Web 広告運用・SEO の求人のうち、求人の題名から広告運用・SEO の仕事と分かるものを、会社単位で数えたものです。割合は、該当する求人を 1 件以上出している会社の割合で、丸めています。日本の求人全体の数字ではありません
- どの割合も、求人票に書いてあるかどうかを数えたもので、実際の働き方を調べたものではありません。求人が 1 件だけの会社も多く、書いていないからといって、その仕事が無いとは限りません
- 「他社の広告を運用する会社」「自社の広告を運用する会社」は、求人の本文から運用先を読んで分けました。指標の名前の割合は、求人に名前が出てくるかどうかの差で、責任の重さや仕事量の比較ではありません
- 仕事の特徴と仕事内容は、厚生労働省の job tag「Webマーケティング(ネット広告・販売促進)」(2026 年 10 月 9 日確認)を出典にしています。job tag は Web マーケティング全体の職業で、広告運用だけを説明したものではありません
- 打ち間違いの重さと、事業会社での承認は、働いている人の体験談を個人の声として紹介しています
- 産業別の離職率は、厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査結果の概要」によります。勤め先の事業所の産業ごとの値で、職業別の値ではありません
- 当サイトの見立て: どこでも付いてくる辛さと会社によって違う辛さの分け方、同期の「楽になった」の読み方、インハウスでは代理店を替えると言われる心配がなくなる代わりに成果の悪化が自社の売上の問題になること、インハウスでの目標の決まり方、目標の決め方が求人票から読み取りにくいこと、担当社数の少ない代理店とインハウスでの経験の使い方
- 当サイトの助言: 4 つの問い、面接の質問、今の会社への相談の仕方、転職サイトに登録する時期、辞める理由の話し方
- 固定残業代は一般的な仕組みとして書きました。決められた時間を超えた分の残業代が別に払われることを、求人票と雇用契約で確かめてください